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179.拭えない ページ29

 あの夜から2週間が経った。


 

 相変わらず杏寿郎さんは任務と稽古で忙しくしている。


「…Aさん?」


 縁側に腰をかけ、夕涼みしていると

 千寿郎くんに声をかけられた。


「…あ、そろそろ夕餉の準備でしたね。」


 私が腰を上げようとすると、千寿郎くんが


 肩に手を置く。


「まだ大丈夫です。考え事ですか?」


「ううん!少し休んでいただけだよ。」


 千寿郎くんは縁側に座り込んで私に微笑みかける。


「来週、近くの川沿いで花火大会が開催されるんです。

 兄上と一緒に行かれたらどうですか?」


 風鈴が風と戯れてチリンと音を立てる。


「花火大会?」


「はい。僕がこの前兄に予定を聞いた時は、

 その日は非番だと言っていましたし。」


 花火大会か…誘ってみようかな。



「明日、新しい浴衣を買いに行きましょう!」


「え!?そんな!わざわざ大丈夫だよ!」



「僕からの日頃のお礼ですから!」


 千寿郎くんはなかなか引いてくれない。


「…分かった。ありがとね、千寿郎くん!」


 二人で縁側で微笑み合う。


 
ー ガラッ ー



「ただいま戻った!」



「あ!兄上が稽古から帰ってきましたね!」


「本当だ!急いで夕餉の準備しないとね!」


 
 私と千寿郎くんは慌てて玄関へと駆けて行った。



「おかえりなさい!」



「うむ!ただいま!」



「先に湯浴みなさいますか?」



「そうだなあ。汗かいたしな!そうしよう!」



 いつもの会話、


 いつもの雰囲気、


 変わらない…





 変わらないはずなのだけど、







 私は何となく感じる違和感を拭えないでいた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 衣世さん» 苦しいですね…。書いていても辛いです泣 叫んじゃってください〜!! (2021年11月3日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 更新ありがとうございます!杏寿郎ーー!!切ない、苦しいですね(ToT)うあぁぁぁ(TдT)叫ばずにはいられません泣 (2021年11月3日 18時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - akiomiさん» はじめまして。コメント嬉しいです!ありがとうございます。溶けてしまいたいですね…笑 応援ありがとうございます!引き続きお楽しみくださいませ! (2021年11月3日 12時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
akiomi(プロフ) - 初めまして。切なくてどうしようもない気持ちになり、コメントしてしまいました!雪になって、私も溶けてしまいたい笑 続きも楽しみにしております。これからも応援しています! (2021年11月3日 11時) (レス) @page45 id: 15912deccb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - ろろろーさん» はじめまして。コメントありがとうございます!胸を締め付けるようなお話ばかりで申し訳ないです。嬉しいお言葉、ありがとうございます!更新、頑張りますね! (2021年11月3日 10時) (レス) @page45 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月23日 12時

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