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149.月夜桜の逢引き ページ49

 桜舞う月が綺麗な夜のこと。

 私はどうしても夜桜を見たくて、

 杏寿郎さんが任務へと行き、

 千寿郎くんが寝静まった後、

 槇寿郎さんにも気付かれないようにそっと家を出た。


 大丈夫、少し見たらすぐに家に戻るから…


 歩みを進めると、聞き馴染みのある声がした。



 桜舞う川辺に


 杏寿郎さんと小野寺さんの姿があった。


 すると突然、川の水面からこの世のものではない

 異形の鬼が杏寿郎さんの背後に現れた…


「炎の呼吸 壱ノ型


 不知火!!」


 
 それは時間にしたら本当に一瞬。


 でも、私には鮮やかにゆっくりと映るようだった。


 
 春の月夜の下で

 ひらひらと舞う桜が水面へと落ちていく。

 その刹那パッとあたたかい炎があたりを包み、

 水面はキラキラと光るように明るくなる。

 
 とても美しいと思った。


 あまりにも感動してしまい、

 私はつい声を出してしまった。


「か、かっこいい…。」


 しまった!と思った時にはもう遅く、

 二人に気づかれてしまった。


 杏寿郎さんは、夜に一人で出歩いていたことを注意し、

 なぜ自分を誘ってくれなかったのかと聞いてきた。


 言えないよ。

 だって杏寿郎さんは忙しいもの。

 夜は任務で出かけることが多いし、

 お休みの日は何も気にせずにゆっくり寝てほしい。

 私が黙っていると、

 杏寿郎さんは一緒に見たいものがあると言い、

 私の手を引いた。



 高台の方へと登っていくと

 そこは街が一望できるほどの絶景だった。

 月に照らされた桜の木々が昼間より大人っぽい色をして

 ガス灯の灯りを受けて街一帯が艶やかだ。


「…綺麗。」


 私がそう呟くと、杏寿郎さんは手招きをする。

 杏寿郎さんの方へと歩みを進めると、

 あたり一面 薄桃色の桜のトンネルが眼下に広がる。


「この道を君と通ってみたかったんだ。」


 そう言うと、私の前に右手を差し出して

 私はその手をとる。


 桜のトンネルをガス灯の灯りが優しく照らす。

 ひらりひらりと舞い落ちる桜の花びらが

 息を呑むほど美しい。


「美しいな。」


「本当ですね。」


 杏寿郎さんは慈しむような瞳で私を見つめる。


「…どうかしました?」


「いや、夜桜が舞う中の君があまりにも綺麗だから

 いつまでも忘れないようにと、目に焼き付けていた!」


「…本当、杏寿郎さんは人を喜ばせるのがお上手です。」

150.心に焼き付ける→←148.桜舞う夜の鬼退治



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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