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148.桜舞う夜の鬼退治 ページ48

〈杏寿郎 side〉


「炎の呼吸 弐ノ型


 昇り炎天」


 鬼は耳を塞ぎたくなるような悲鳴をあげて

 塵となって消えていった。


「炎柱、お見事です。」


「うむ。だが、もう1匹いるな。」


 俺と一緒に任務に当たっているのは、

 同じ鬼殺隊の若草色の羽織を着た小野寺新太郎。

 水の呼吸の使い手で、立派な剣士だ。

 俺は彼をかなり信頼している。


「い、いました!!」


 月夜の下、桜が散る水面の上でゆっくりゆっくりと

 歩みを進めている異形のものが目に入った。

 大きさは約66寸ほどで、体は大きい。



「炎柱、ここは俺が…」


 小野寺は一気に詰め寄り、刀を振り落とす。


「やーっ!!!」


 しかし、鬼は先程とは違い、瞬時に水面の中へと消える。


 逃がさない…!!


 俺は鬼の消えたすぐそばへと駆け寄り、

 集中して神経を研ぎ澄ます。


 すると、後方から微かだが、ゴポゴポと音がした。


 鬼が水面から出てくるタイミングを見計らい

 俺は攻撃を仕掛ける。


「炎の呼吸 壱ノ型


 不知火!!」


 振り向きざまに振り抜いた刀は、


 炎をともして鬼の首を切り落とした。


 鬼は跡形もなく消え、水面には薄桃色の桜が

 ゆらゆらと揺れていた。


「…か、かっこいい。」


 小さな声だが俺にははっきりと聞こえた。


 いるはずのない、


 愛おしいAの声を。




「…Aさん!?


 なぜここに?夜に一人は危ないですよ!」


 小野寺がAに駆け寄る。


 
 Aは申し訳なさそうに俯きながら謝る。



「…ごめんなさい。

 
 どうしても夜桜が見たくて…。

 家からそこまで離れていないし、少しくらいなら

 大丈夫かと思いまして…。」


 俺は静かにAに歩み寄る。


「A、君の気持ちは分からなくはないが、

 少しでも君がここにくるのが早ければ

 先程の鬼に襲われていたのかもしれないのだぞ。」


 俺はAの目をまっすぐに見て問う。


「一人では危ない。

 なぜ俺を誘ってはくれなかったのだ?」


 Aは、目を伏せて口を結ぶ。


 これはすぐには答えない時の顔だな。


「小野寺!ひとまず、鬼の気配はもうなくなった!

 今日の任務はここまでだ!

 君も疲れたろうから、ゆっくり休むように!」


「はい!では、また明日お伺いします。」


 小野寺はそう言うと帰路へ着いた。




「…さあ、A、一緒に行こう。

 君と見たいものがあるんだ。」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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