君が思い出すまで3【煉獄杏寿郎】

139.※柚子の誘惑 ページ39

※今回は大人です。
　苦手な人はとばしてください。




　しばらくして、

　ゆっくりと身体を離すと、

　杏寿郎さんは私の首元に鼻をつける。


「良い香りがするな。」


「きっと柚子の香りでしょう。

　柚子のお風呂でしたから。」


　私がそう答えて微笑むと、もう一度

　顔を首に埋め、今度は舌で舐める。


「…ん。ちょっと…杏寿郎さん、くすぐったいです…。」

　
　私が離すようにと、杏寿郎さんの胸を押し返そうとすると

　両手を掴まれ、手を握る形になってしまった。


「…ふふっ。くすぐったいって…。」


　はじめは軽く舌で舐める程度だったものが


　だんだんと深いものに変わっていく。


　首筋を舌で這い、音を立てて口づけを落とす。


「…ん」


　ゾクゾクと震える。


「A…可愛いな。」


「…はぁ」


「まだ、首しか触れていないだろう…？」

　
　色っぽい声でそう囁く。

　普段の杏寿郎さんからは想像ができないほどに

　意地悪な顔をしている。


「…もう、やめ…」


「…まだ止めてはやるまい…。

　それに、俺はひとつ心配なことがあるんだ。」


「…しん…ぱい？」



「君は俺を想ってくれていたと言っていたが…


　俺以外にも首に痕をつけられたことが

　あったんじゃないか？」

　
　そう言いながらも、彼は何度も何度も

　首をいじめる。


　痕…って、あの時の宇髄さんの…？

　見られてしまっていたの…？


「俺が気づいていないとでも…？」



「ん…や、あれは」



「どんな理由であれ、君は隙がありすぎる。」


　そう言うと、彼は耳を甘噛みしてきた。



「…いっ」


　痛い…




　痛いのに、



　気持ちいいと感じてしまう。




「君は耳が弱いのだったな。






　これでは仕置きにならないな…」




　
　
　甘噛みされては




　舐められて





　私はどんどんとおかしくなる。



　頭が溶けてしまいそうな感覚に陥って


　無意識のうちに涙が一筋だけ零れ落ちた。



　杏寿郎さんは私の涙に気づくと、我に返った。



「…す、すまない！


　君の反応が…あまりにも愛おしくて



　意地悪をしすぎてしまった…。」





　私は肩で息をする。




「…いえ。


　嫌だったわけではないのです…。


　その…おかしくなってしまいそうで…。」


　杏寿郎さんはふうっと一息つくと、

　困ったように眉を下げる。


「…あまり、そう言った可愛いことを言うな。

　止められなくなってしまう。」

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