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124.はじめから ページ24

 思わぬ出来事に

 私は身体中が急激に熱くなるのを感じた。


「…あっ!すまない!!!

 幼い頃、千寿郎によくしていたことを

 思い出して、つい…」


 杏寿郎さんは、慌てて手を離す。


「い、いえ!大丈夫です!!!

 おかげで温かくなりました!!

 く、薬塗りますね…!!!」

 私は激しく動揺してしまう。


 杏寿郎さんは、ゆっくりと服のボタンを外していく。

 ボタンを外す指が、なんだか艶かしくて、

 私は息が詰まりそうになる。


 そっと、上を脱ぐと、私の方に背を向ける。

 
 痛々しい背中の傷。



 私は軟膏を指ですくい、

 痛くないように優しく塗りはじめる。


 鍛え上げられた上半身

 自分とは違うごつごつとした体つきに

 鼓動が速くなるのを感じる。


 これは手当て…これは手当て…


 すると突然、煉獄さんは口を開く。


「…A、宇髄はいい奴だ。

 嫁が少々多いが、きっと君を大切にしてくれる。」


 宇髄さん?なぜ突然そんな話を…?



「…えっと?どうしたのですか、突然。」


 すると、杏寿郎さんは少し下を俯いて告げる。



「…君は、宇髄のことを好いているのだろう?

 そんな君にこんなことを頼んでしまって…本当に

 申し訳ない。」


「…え?」


「宇髄も君のことを気に入っているようだし、

 気兼ねなく、宇髄のところに行ってもらっても

 構わない。」



 …なんで?なんでそんなことを言うの?



 杏寿郎さんの背中がぼやけて見えた。


 私は軟膏を塗り終えると、彼に声をかける。


「…杏寿郎さん。」


 杏寿郎さんは袖に腕を通すと、こちらに体を向ける。




 私の顔を見た杏寿郎さんは目を見開く。



「好きでもない男にこんなこと頼まれ、

 あげくに先程のようなことをされるのは

 嫌だったよな…すまない。」




 杏寿郎さんは、目を落としながらボタンをつける。




 ああ、




 ほら、



 ボタンを掛け違えている。



 一度掛け違えたボタンは気づかずに


 下の方までずれていく。



 私は杏寿郎さんの手を取り、



 はじめからボタンを外していく。



「…なんだ?」

 

 掛け直そう。


 しっかりと。


 向き合って、はじめから掛け直そう。





「…杏寿郎さん。








 あの日の夜、





 私にしてくれた口づけ…覚えていますか…?」


 


 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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