君が思い出すまで3【煉獄杏寿郎】

118.思いとどまる ページ18

その日の昼のこと、

　杏寿郎さんの意識が戻ったと

　しのぶさんから連絡が入った。


　千寿郎くんは昨夜家を空けてしまったので

　家事等をして待っているから

　Aさん、行ってきてくださいと言うので、

　私は慌てて持ち物をまとめ、蝶屋敷へと駆けつける。


　

　息を切らし、病室に入ると、

　ベッドの上に起き上がっている杏寿郎さんと目があった。



「…良かった。本当…良かった。」


「…A。

　どうした！そんなに慌てて！

　君は危なっかしいからな！転んでしまうぞ！」


　そこには本当に怪我人かと疑うほど元気な

　杏寿郎さんの姿があった。


「杏寿郎さん…意識が戻って良かったです…。」

　私は杏寿郎さんのそばへ行くと

　思わず涙が溢れてしまった。


「…そんなに泣かないでくれ。

　心配かけてすまないな。

　まだ傷は痛むが、食欲もある！元気だ！」


　杏寿郎さんは、

　ベッドに伏せて泣きじゃくる私の頭を撫でようと


　手を伸ばすも、


　思いとどまり、その手を引いた。



「お取り込み中、すみません。


　煉獄さんの経過を観察しに来ました。」
　

　しのぶさんが静かに病室に入ってきて

　杏寿郎さんの経過観察を行う。


「…はい！問題ありませんね！

　背中の縫合の経過も良好です！

　ただ、菌が入らないように清潔を保つ必要があります。

　飲み薬もしばらくは飲んでもらいますが、

　湯浴みを終えた後、綺麗な状態でこの軟膏を塗って

　くださいね！」

　しのぶさんは、なぜか私にその軟膏を渡すと

　では、任務が入ったので！と病室から颯爽と出ていった。

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