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46.順応する身体 ページ46

それから2週間ほど

 杏寿郎さんは長期任務に行くと言い、

 家に帰らないことが続いた。

 季節は夏から秋へと変わっていった。


 私はというと、背中の傷も、足の痛みも良くなり、

 しのぶさんに診察してもらったところ、

 もう、薬も要らないだろうと言われた。

 煉獄家にもだいぶ慣れてきて、

 千寿郎くんの家事の手伝いをしている。

 槇寿郎さんとはあれ以来、どうなのかと聞かれれば、

 特に進展はないが、食事を持って行っても、

 拒まれることはない。

 千寿郎くんとは色々な話をして、

 姉のように慕ってくれている。

 月日が経つにつれて、こちらの世界に来る前の記憶は、

 どんどん薄れていく。

 今では自分のしていた仕事も、

 思い出せないほどになってしまった。

 急激な記憶の喪失が怖い。



 そんなある日の晩のこと、

 なかなか寝付けずにいた私は、縁側に腰をかけ、

 月を眺めていた。


 すると、戸の開く音が聞こえた。


 次第に足音がこちらへと近づき、止まる。


「…A?起きていたのか?」


 声の主は杏寿郎さんだった。

 炎柄の羽織が風に揺れ、

 月の光が杏寿郎さんの顔を照らす。


「…杏寿郎さん!おかえりなさい。

 お勤めご苦労様でした。」


「うむ。長いこと家を出てしまっていたな。

 皆変わりないか?」


 杏寿郎さんは、私の横に腰を下ろし、笑顔を向ける。

「はい!みんな元気ですよ。お風呂、入られますか?」

「そうだな!山岳地帯の任務だったので

 土埃で汚れてしまった!」

「そうだったのですね!

 …あっ!本当だ。頬が泥で汚れていますよ。」


 右頬についた泥を持っていた手拭いで拭おうと

 手を伸ばした瞬間、


 不意に腕を掴まれ、杏寿郎さんの胸に引き寄せられた。

「…杏寿郎さん?」


「…すまない。少しだけこのままで…」


 疲れているのだろうか?

 

 そう言うと、杏寿郎さんは


 そのまま眠りに落ちてしまった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - nさん» お楽しみいただけて嬉しいです!こちらこそ、読んでくださり、ありがとうございます。 (2021年10月19日 9時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
n - 凄く読んでいて楽しかったです。ありがとうございます。 (2021年10月18日 22時) (レス) id: 2858fa56d6 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 全ての作品は読めていませんが、個人的に継子の実弥さんの切なくて好きです!新作も気になるので、読ませていただきますね! (2021年10月15日 21時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 狐姫さん» あのう、大変恐縮ですが、どの実弥さんがよかったですか? (2021年10月15日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 読ませいただきました!とても素敵です!!不死川さん良いですね!! (2021年10月15日 20時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月13日 15時

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