君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

42.反芻する ページ42

　夜もふけてきたため、

　自室に戻り、布団に入ると、

　慎寿郎さんの言葉を反芻する。


　あの時は、兄弟のことを悪く言われたので、

　カッとなって、話を流していたけれど…

　杏寿郎さん許嫁がいるって言っていたよなあ…。


　良家だもの、許嫁がいてもおかしくないよね。

　それにあんなにも整った顔だし、明るくて良い人だし、

　女の人も放って置かないよね…。

　私はここに身を置かせてもらっていていいのだろうか。


　眠ろうと思っていたのに、

　杏寿郎さんのことを考えてしまって

　なかなか寝付けないでいると、

　隣の部屋から声をかけられる。


「A、杏寿郎だ。入っても良いだろうか？」

「…はい！どうぞ！」

　急に声をかけられたので、

　反射的に大きな声を出してしまった。


「もう寝るところだったか？

　すまないな！背中の薬を塗ってあげよう！」

　背中の薬…、そうだった。すっかり忘れていた。




「…ありがとうございます。」

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