君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

37.怪我してばかりで ページ37

　千寿郎くんに告げると、

　私は横抱きのまま

　煉獄さんの自室へと連れて行かれた。

　ゆっくりと褥の上に寝かされると、

　真剣な表情で私を見つめる。


「本当にすまなかった…。」

「煉獄さんは悪くないですから！」

「足を見せてくれるか？」

　普段は釣り上がっている眉毛をさげ、

　心配そうな顔をしている。


「痛むか？」


「少しだけ…。でも生活する上では問題ないと思うので！」


　そうか、と安堵の顔をすると、煉獄さんは立ち上がり、

　木箱から塗り薬を取り出す。


「これは胡蝶からもらった鎮痛薬だ。

　任務で怪我した時に俺がよく使っている。」


「ふふっ」


「どうした？」


「いえ、私は煉獄さんに薬を塗っていただいてばかりだなあと思いまして。」


「そうだな！

　もし、今度俺が怪我をした時は、

　君に薬を塗ってもらうとしよう！」


「怪我しないでもらいたいですけど…その時は是非！」

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