君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

24.優しい人 ページ24

「入ってもいいか？」

　襖の向こうから声がした。

「あ…はい！どうぞ！」

　静かに襖が開けられ、

　隊服から浴衣に着替えた煉獄さんが入ってきた。


「先程、うめき声が聞こえてな。

　心配になって様子を伺いにきた。大丈夫か？」


「ええ！？

　うるさかったですよね。すみません…。」


「こちらのことは気にするな。

　鬼に襲われて怖い思いもしただろう。

　それに君は過去の記憶も失っている。

　辛い時は頼って欲しい。」


　なんて優しい人なんだろう。

　見ず知らずの人にこんなにも優しい言葉をくれる。


「ありがとうございます…。

　その言葉だけで充分幸せです。」


「もう二度と君を怖い目に合わせない！約束する！」


　声を張り上げて言うものだから、思わず笑ってしまう。


「ふふっ。頼もしいです！」




　優しくてあたたかい、太陽みたいな人。





　すると突然、何かを思い出したかのように、


　私の背中を撫でた。


　あまりにも突然のことに体が反応してしまう。

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