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39.兄を慕う弟の本心 ページ39

 杏寿郎さんに頭を撫でられ、

 安心したのか、どうやら眠りについていたようだ。


 重い瞼を開けると、

 心配そうに見つめる綺麗な瞳と目が合う。



「Aさん、大丈夫ですか?」


 そこにいたのは、杏寿郎さんによく似た

 下がり眉の千寿郎くんだった。


「…千寿郎くん?あれ!?私寝てしまって…」


「お疲れだったのでしょう。夕餉の準備ができました。

 一緒に食べませんか?」


 夕餉??もうそんな時間なのか…。

 随分と眠ってしまっていたようだ。

 夕日の橙に照らされた千寿郎くんの髪が、

 金色を帯びて、キラキラとしている。

 あまりにも綺麗で見惚れていると、

 意識を呼び戻すように声をかけられる。


「Aさん?」

「あ、ごめんなさい。

千寿郎くんの髪があまりにも綺麗で、

つい見惚れてしまって…」


「そ、そんな!ありがとうございます。

派手な髪で、あまりよく思っていないのですが、

そう言われると嬉しいです!」


 頬を赤く染めて笑顔を向ける千寿郎くんが愛おしい。


「夕餉、でしたね。すみません、またお手伝いもせずに。」


「良いのですよ。ご無理なさらずに!

 一緒に食べましょう!」


 千寿郎くんに連れられ、居間に向かうと、

 そこには二人分の食事が用意されていた。

「あれ?杏寿郎さんは?」

「兄上は、急な任務が入ったとのことで、

 今し方、任務に向かわれました。」

 そうなのか。

 任務ってことは、鬼を狩にいったということか。

 無事に帰ってくるといいなあ。

「大丈夫です!兄は鬼殺隊の中でも強い、柱ですから!」

 私の不安な気持ちを汲み取ったのか、

 千寿郎くんは安心するような笑顔を私に向ける。

 けれど、その握った拳は震えていて、

 兄が心配でたまらない想いと、

 大丈夫と自分に言いかけている様子が見て取れた。


 押しつぶされそうなその不安に寄り添いたくて、

 咄嗟に千寿郎くんの手を握る。

「Aさん…?」

「夕餉、いただきましょうか。」

「はい!」

 二人で座って夕餉をいただく。

 ふと、この家の主人である父親に

 挨拶ができていないことを思い出した。

「千寿郎くん、私、大変失礼なことに、

 まだ二人のお父上に挨拶ができていないのですが…」

 すると、千寿郎くんは箸を置き、

 少し悲しそうな表情でこたえる。

「では、夕餉の後にでも

 僕と一緒に父上の部屋に行きましょう。」

40.よく似た父親→←38.妹



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - nさん» お楽しみいただけて嬉しいです!こちらこそ、読んでくださり、ありがとうございます。 (2021年10月19日 9時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
n - 凄く読んでいて楽しかったです。ありがとうございます。 (2021年10月18日 22時) (レス) id: 2858fa56d6 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 全ての作品は読めていませんが、個人的に継子の実弥さんの切なくて好きです!新作も気になるので、読ませていただきますね! (2021年10月15日 21時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 狐姫さん» あのう、大変恐縮ですが、どの実弥さんがよかったですか? (2021年10月15日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 読ませいただきました!とても素敵です!!不死川さん良いですね!! (2021年10月15日 20時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月13日 15時

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