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伏黒side
『そっか』
眉根を下げ一瞬寂しそうな表情をする彼女に
しまった、と俺は内心焦った。
彼女からの質問を介して
ふと昔、1度だけ津美紀と五条先生と
3人でここに訪れた記憶が蘇り。
今のAのようにカチューシャを付けた
まだ元気だった姉の姿が思い起こされ
逃げるようにAをあしらってしまった。
こんなの、八つ当たりのようなものじゃないか。
”恵は言い方がきついんだよ。本当は優しいくせに”
津美紀の叱責がどこからか聞こえる。
本当、何も成長しないな俺は。
俺は手元の飲み物のふたを外すと
一気に喉に流し込み
伏「...わりぃ。」
突然の奇行に驚いたようにこちらを見るAに
謝った。
伏「姉...津美紀は、今寝たきりなんだ。あいつと来た時のこと思い出して、ちょっと八つ当たりみたいなことしちまった。すまん」
『そんな...私が無神経だっただけだよ。ごめんね』
彼女はあわてるようにフォローを入れる。
そういう所も、
なんだか津美紀に似ていて...
善人って、どうしてこういう時でも相手への配慮をするんだよと
心の中で悪態をついた。
その様子が顔に出てしまったのか
或いは悟られたのか
彼女は少し困ったように眉根を下げると
ひとつ聞いてもいい?と控えめに訪ねてきた。
『お姉さんって、どんな人だったの?』
伏「....お人よしで、いつも笑ってる奴だった。お前に少し似てる」
『私に?私別に良い人間じゃないと思うけど...?』
でも、と彼女は微笑んだ。
『伏黒がそんな優しい顔していうんだもん。本当に優しい人だったんだね』
会ってみたかったな〜
残念そうに空を仰ぐ彼女の横顔が
全てを諦めているかのように見え
俺は何とも言えない、不甲斐なさを感じた。
しかし結局、
彼女への碌な返しすら思い浮かばず
伏「そうだな」
彼女を真似て、ただ空を仰いだ。
目の前に広がる雲一つない晴天に
どうしようもない焦燥感を感じたのは初めてだった。
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アイコ(プロフ) - 漁灯火さん» あたたかいコメントありがとうございます! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
漁灯火(プロフ) - はじめまして!夢主の健気さに胸が締め付けられます!続き楽しみにしてますね!無理しない程度に更新ファイトです!応援してます! (2021年2月6日 2時) (レス) id: d674c68738 (このIDを非表示/違反報告)
アイコ(プロフ) - あ ま ね 。さん» ありがとうございます!頑張ります( ´ ▽ ` ) (2021年2月6日 0時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - はじめまして!最高です!更新楽しみにしてます!!!! (2021年2月5日 23時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイコ | 作成日時:2021年2月4日 0時