検索窓
今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:19,259 hit

2-3 ページ19

伏黒side



『そっか』


眉根を下げ一瞬寂しそうな表情をする彼女に

しまった、と俺は内心焦った。




彼女からの質問を介して

ふと昔、1度だけ津美紀と五条先生と
3人でここに訪れた記憶が蘇り。

今のAのようにカチューシャを付けた
まだ元気だった姉の姿が思い起こされ

逃げるようにAをあしらってしまった。


こんなの、八つ当たりのようなものじゃないか。





”恵は言い方がきついんだよ。本当は優しいくせに”




津美紀の叱責がどこからか聞こえる。




本当、何も成長しないな俺は。







俺は手元の飲み物のふたを外すと
一気に喉に流し込み



伏「...わりぃ。」



突然の奇行に驚いたようにこちらを見るAに
謝った。




伏「姉...津美紀は、今寝たきりなんだ。あいつと来た時のこと思い出して、ちょっと八つ当たりみたいなことしちまった。すまん」

『そんな...私が無神経だっただけだよ。ごめんね』

彼女はあわてるようにフォローを入れる。



そういう所も、
なんだか津美紀に似ていて...



善人って、どうしてこういう時でも相手への配慮をするんだよと



心の中で悪態をついた。




その様子が顔に出てしまったのか
或いは悟られたのか


彼女は少し困ったように眉根を下げると

ひとつ聞いてもいい?と控えめに訪ねてきた。




『お姉さんって、どんな人だったの?』

伏「....お人よしで、いつも笑ってる奴だった。お前に少し似てる」

『私に?私別に良い人間じゃないと思うけど...?』

でも、と彼女は微笑んだ。

『伏黒がそんな優しい顔していうんだもん。本当に優しい人だったんだね』


会ってみたかったな〜


残念そうに空を仰ぐ彼女の横顔が
全てを諦めているかのように見え


俺は何とも言えない、不甲斐なさを感じた。




 



しかし結局、
彼女への碌な返しすら思い浮かばず



伏「そうだな」



彼女を真似て、ただ空を仰いだ。





目の前に広がる雲一つない晴天に

どうしようもない焦燥感を感じたのは初めてだった。

2-4→←2-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 伏黒恵
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アイコ(プロフ) - 漁灯火さん» あたたかいコメントありがとうございます! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
漁灯火(プロフ) - はじめまして!夢主の健気さに胸が締め付けられます!続き楽しみにしてますね!無理しない程度に更新ファイトです!応援してます! (2021年2月6日 2時) (レス) id: d674c68738 (このIDを非表示/違反報告)
アイコ(プロフ) - あ ま ね 。さん» ありがとうございます!頑張ります( ´ ▽ ` ) (2021年2月6日 0時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - はじめまして!最高です!更新楽しみにしてます!!!! (2021年2月5日 23時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アイコ | 作成日時:2021年2月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。