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宿儺sideつづき


そんな姉は、
いつも俺の怪我の手当てを
してくれていた。


あの日も、ちょうどいつものように父に殴られ

赤く腫れた俺の頬を手当てをしてくれていて。


その姿と一緒に、姉が悲しそうに呟いた言葉が
鮮やかに脳裏で再生された。





“お前は綺麗な顔をしているから、大人になったら
うんっと女の子たちから人気を集めるだろうねぇ”

“………大人に、なりたいよねぇ”




潤んだ目で見つめてくる姉の姿に

自分は大人になることはないのだろう、と
幼いながらも感じ取っていた。



姉はそれから優しく腫れた頬をなぞり
俺を抱きしめてくれた。




 





そんな懐かしい記憶に脳が揺さぶられたのか

はたまた、外に出るなと言ってくる神への反発心なのか



俺の中である1つの欲が生まれた。






 


姉に、元服になるまで生きられたことを
知らせたい。




 


この村の奥にある
代々豪族の親族が埋められている墓に
姉も眠っていて

場所もここからそう遠くない。




神に拾われて以来
姉の墓参りに行けていないこともあり


俺はいつしか早る心を抑えられず…






試しにちらりと隣の部屋を覗くと

神はなにやら黙想していて



こちらに気付く気配はない。








今しかない。







俺はそれを確認したのち
息を潜めて鳥居の方へと向かうと


恐る恐る、外へと繋がる石段を降りた。







この石段に足をつけるのは
神に手を引かれた日以来である。



緊張でうるさくなり続ける心音が
どうか彼女に聞かれないようにと強く願った。




______________________________________

【補足】
この時代の墓は今の墓石とは違い

豪族の大王は古墳を用意されていましたが、
それ以外の人は墓地として一か所に穴を掘られた塚のようなところに埋められていたそうです。

(作者調べなので違ったらすみません!)

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アイコ(プロフ) - 薊さん» ありがとうございます、村人については激しく同意です(小並感) (2021年1月12日 17時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
アイコ(プロフ) - 白狐さん» ありがとうございます!頑張ります(°▽°) (2021年1月12日 17時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
- すごいですね…(語彙力低下)これからも頑張って下さい!後、村人は許すまじ。 (2021年1月12日 12時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです! (2021年1月11日 21時) (レス) id: f345edd9e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アイコ | 作成日時:2021年1月7日 16時

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