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『なんだ、今日は何が聞きたい？』
本を片手に声をかけてきた宿儺に
琴の手を止めて応じた。
…あれは、この村の地理書か？
宿「この文献によれば、昔はこの村の奥に滝があったのだろう？父からも聞いたことはなかったが…なぜ今の村人は知らんのだ？」
『そんなもの簡単だ。その滝が枯れたからだよ。
山の奥地にありすぎて、その滝の神を詣る人間が減り、最後には信仰する者がいなくなった…
神は信仰する者が消えれば、その宿っていたモノも消える。その逆も然り』
懐かしい男の顔が脳裏をよぎる。
その男…滝の主は、変わらぬ快活な笑みを向けてきた。
宿「知り合いだったのか？その滝の神とやらも」
『…ああ。もう姿を見ることはない友人だよ』
彼はの信仰心を持つ者が出ない限り
きっともう、会うことはない友人…
『滝ももちろんだが、その秘境は本当にすばらしいところだ。朝焼けが映える美しい土地で…』
宿「Aが言うのならば、よほどなのだろう。
一度拝んでみたいものだな」
私の脳は未だに、もう見ることのない滝や大地
彼の姿を映し出していたが
ボソリと呟く宿儺の声に
あっさりと現実に引き戻された。
あの景色を、見たいといったか…
この場所を出て外へ行くと…？
私は背中がヒヤリとした。
『…すまない、宿儺』
宿「なんだ、突然」
『学んだことを見たいという気持ち、分からんでもない。…しかし悪いことは言わない。ここを出るのはやめておけ』
宿「…理由はなんだ」
宿儺は、初めてAの口から否定的なことを
告げられたからだろう。
その声は少し低くなり、訝しげにこちらを睨んだ。
それでも、私がかける言葉は変わらない。
『お前はもう以前の與那彦ではなく、宿儺だからだ』
理解できないという顔をする宿儺を
ただ、申し訳なく見つめることしか
私にはできなかった。
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アイコ(プロフ) - 薊さん» ありがとうございます、村人については激しく同意です(小並感) (2021年1月12日 17時) (
レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
アイコ(プロフ) - 白狐さん» ありがとうございます！頑張ります(°▽°) (2021年1月12日 17時) (レス) id: 311881f587 (このIDを非表示/違反報告)
薊 - すごいですね…(語彙力低下)これからも頑張って下さい！後、村人は許すまじ。 (2021年1月12日 12時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年1月11日 21時) (レス) id: f345edd9e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイコ | 作成日時：2021年1月7日 16時
