悪魔祓いとガラスの陽だまり 5 ページ26
……彼は、十分強いと思う。それに、危険に晒されて欲しくない。でも、彼自身がもっと力が欲しいと言うならば叶えさせてやりたいし、そうするべきだ。
「うん、いいよ。後で店に行こうね。他のみんなも、欲しいものは決まった？」
「ぼく、あれにする！」
そう言ってBroooockが指さしたのは、魔法がかかったポストカードだ。遠い国の景色や物語の中の一場面がイラストの中で揺れ動く、記念品の一つ。
「どの絵柄にするか、決めておいで」
「うん！」
一番大きな硬貨を握らせると、彼は元気よく走っていった。
「二人はどうする？」
「えっと、ぼくは、きめてる……けど……」
Nakamuは言い出しにくそうに、ちらちらと辺りを見回している。おねだりすることに慣れていないからか、それとも何か秘密に関係することなのか。
「じゃあ、欲しいものの近くを通るときに教えてくれる？ 遠慮しないでね」
「わ、わかったよ」
「マスター！ これにした〜！」
そう言ってBroooockが見せたのは、美しい夜空とオーロラのイラストのカードだった。魔除けと健康の呪文が刻まれているのが分かる。カードの中で、エメラルドグリーンの極光がちかちかと輝き、星空の柔らかな光が山に降り注いでいる。
「とっても綺麗だね。魔除けにもなるみたいだから、大事にするんだよ」
「は〜い！」
「きんときは決まった？」
「うーん……やっぱり歩きながら決めてもいい？」
「もちろん」
マーケットの人だかりの間を縫うように、武器屋を目指して歩いていく。道中はぐれそうになった者もいたが(ばらばらになるなと何度も言ったのに……)、何とか全員で店までやって来た。
子どもでも扱いやすいものが良いだろうし、軽いナイフの類いが良いだろうか。いや、彼が使いたいものを持つのが一番だろうが。
「好きに見て来ていいよ。ぴんと来るものを見つけなさい」
「わかった」
他の三人も興味深そうに店の中をうろうろとし始める。私は対悪魔の弾薬の残りを考えながら、祝祭ムードに飾られた店内を見ていた。
「マスター、おれ、これがいい」
そう言った彼が手にしていたのは、対悪魔に特化した軽量ナイフ。装飾も少なくシンプルで小さいものだ。
「うん。かなり軽いし、ぴったりだね」
「だろ！ ぜったいマスターよりつよくなって、おれがみんなのこと守るから！」
シャークんの笑顔があまりにも眩しくて、悪魔との戦闘はして欲しくないなんて、私には言えなかった。
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
