９９公演目 ページ1
さらに光に飲み込まれ、やがて目が覚めた場所は先程と全く同じ場所だった。その先に続く森からは機械油の独特の香りが漂い、タイルの血痕は綺麗さっぱり無くなっている。
場所は同じだが時間が違うらしい。まだここに血が付く前ということだ。
森がある方向から焦燥感を剥き出しにした数人の声と足音が聞こえる。その光景は正に地獄のようだった。
頭を抱え顔を歪ませながら身体を引き摺るようにこちらに向かって来る者。焦りでまともな言葉を言えなくなっている者。私も同様に頭痛を引き起こしていた。
その痛みには覚えがある。シャークんの魔法の影響で起きたものに酷似しているのだ。魔法の副作用までもを再現しているらしい。
集団の中にはNakamu、きんとき、シャークんの姿もある。頭上で孔雀緑の光球がはるか上空をゆっくりと移動していた。
言葉でない言葉を一人の男が叫ぶと、そいつの周りにターコイズブルーの光球が浮かぶ。光球は爆破を繰り返しながら街路樹に当たった。街路樹は瞬く間に枯れて炭のようになった。
男は自らの手の甲をナイフで何度も何度も傷付け自制しようと試みているようだが、その努力は虚しく光球の量はどんどん増えている。
がくがくと痙攣し、強く握られた服の皺が一層濃くなって行く。
光球は次々と暴発し、周囲の数名は重軽傷を負っている。その魔法の主は全身血だらけで熟れた桃のような色の皮下組織を見せている。
その男と一瞬目が合った気がした。そいつは焦点を失い濁った瞳をほんの少し細め、口で弧を描く。
そんなはずは無い。これはただの記憶なのだから。私と目が合うなんて有り得ない。戦慄が身体中を駆け巡ったかのような恐怖に襲われる。
シャークんが彼に向かって手を伸ばしたが間に合わず、周囲にはてらてらと輝く赤い液体と人だった物の残骸が残っていた。
鼻の奥にまで浸透する鉄の匂い。その液体に翡翠色の目から流れた涙が混ざって行った。
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葡萄(プロフ) - 影猫さん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…… (2020年4月5日 21時) (
レス) id: 63db2b6d1b (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても楽しく読ませて頂いてました。これからも応援しています……！ (2020年4月5日 18時) (レス) id: aed6496161 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 出水さん» ご心配おかけしてすみません……じきに治りますから大丈夫です！お気遣いありがとうございます。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: 63db2b6d1b (このIDを非表示/違反報告)
出水(プロフ) - 大丈夫ですか！？無理しないでくださいね！いつまでも待つので焦らずに更新頑張って下さい！ (2019年12月29日 0時) (レス) id: 7f5238b76f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2019年12月4日 22時
