妖怪が参拾壱匹 ページ32
邸の周りのフワフワと浮いた蝶の鱗粉のような粉が動きを止め、それはだんだんと形を変えていく。一つ一つの粉が集まり、何本かのナイフになった。
それに気がついた時にはもう遅かった。刃先は全て此方を向いている。その後ろに立つ笑っているお面を貼り付けたかの様な顔をしている彼女が私に指をさした。
瞬間、ナイフは私の体を切り裂いた。間違いなかった。確かに切り裂かれた感覚があったのだ。然し痛みもなければ血が吹き出した様子もない。
«嗚呼、護石が発動したのかい。面倒だなァ…»
その言葉を聞いて、私は直ぐにリュックからポーチを探し出して開く。見るとポーチの中であの煌めいていた筈の石が粉々に砕けていた。
粉々になった石に私は眉を寄せる。だが、そう言えばと私は同じポーチの中から今朝貰った御札を取り出し、左手の甲にのせた。すると、ぼんやりとした薄浅葱の六角形が幾つも私の周囲に現れた。
«そんなモノを隠し持っていたとは驚いたよ。»
如何してさっきまであんなにも優しかった彼女がこんな事を？しかもまだ人間としての誇りを失ったつもりは無い、と言っていたばかりなのに。
不自然だ。絶対に何かある。スマイルさんが態々私を連れてくるくらいなのだから彼女は信頼されている筈。ならばよりこの行動は可笑しい。
ダメだ。彼女がこうする理由が思いつかない。
«守っているだけじゃァ勝てないよ。»
彼女はそう言いながら手の平を広げる。するとそこに偶に銀色に輝く黒い球が出来上がっていく。
「貴方の…」
彼女は球をどんどん大きくして行く。この結界はあまり強くないらしい。彼らが渡してくれるものなのだから弱くはないだろうが、あの球が当たればどうなるか分からない。
「貴方のお名前はなんですか。私はAと言います。」
「貴方が！貴方が人間だった時、何があったのか私は知りません。でもきっと、貴方は聡明で立派で、優しい人だったんでしょう？」
«黙りなさい人間風情が。過去なんて私の記憶から消えてしまったさ。どうだっていいことだから。»
「そうじゃなければ、貴方はきっと私にあんな言葉をかけたりしない！」
«許してちょうだい。こうするしかなかったのよ。»
その声は今まで聞いたどんな声よりも透き通り、凛としていた。あの雑音まみれな声とは程遠いものだった。そして彼女は本当に優しく、私に向かって微笑んだ。
私にはもう訳が分からなかった。
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まめの(プロフ) - 葡萄さん» ちなみに一昨日の睡眠時間は3時間です☆寝る子は育つんですよ^^ (2019年4月30日 7時) (
レス) id: f4614453c1 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - まめのさん» まさか私がニヤつきながら作品を編集するボタンを押した事がバレてしまうとは…しっかり寝てて偉いですヾ(･ω･`*) (2019年4月29日 22時) (レス) id: 63db2b6d1b (このIDを非表示/違反報告)
まめの(プロフ) - 葡萄さん» 褒めると続きが出ると聞きました(期待の眼差し)あ、天才だと思ってるのは事実です〜続き読みたくて夜しか寝れないんで！！ (2019年4月29日 20時) (レス) id: f4614453c1 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - まめのさん» そんな褒めても何も出ませんよ！？有難いお言葉です…(_ _*)) (2019年4月29日 19時) (レス) id: 63db2b6d1b (このIDを非表示/違反報告)
まめの(プロフ) - 葡萄さん» もっと自信持って下さい！天才ですよ！語彙力の塊！羨ましいです〜(° ▽° ) (2019年4月29日 17時) (レス) id: f4614453c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2019年3月31日 15時
