よろしい、ならば退散で(笑) 【鬼滅の刃】

弐拾壱 ページ21

錆兎視点







気が付いたらそいつはそこにいた





真菰と、他の奴らと 炭治郎が切った岩の近くで話をしていた時だ
普段は鱗滝さんとこの山の罠を仕掛ける猟師さん そして炭治郎と俺たち以外はこの山に入って来ない

鬼も滅多な事がない限りここまでは来ない
狭霧山はそれだけ住みにくい山なのだ

見覚えのない奴が岩を通り過ぎた
それも一瞬だ
目で追えたのも奇跡に近い
風のように…いや、風よりも速かったかもしれない



真菰は目を輝かしており、追う気満々だ
俺も興味が無いわけではないが…

いや…行こう
どんな奴か見てみたい









そいつは山の麓の近くで止まっていた
あれだけの罠を軽々と交わし、息切れ一つもしていなかった
もしや鬼殺隊か？
でも刀を持っていなかった



真菰が近くに行くと

誰だと問うてきた
気配もほとんどない俺たちに気づくとは…

そいつは名を月陽Aと言った
最終選別に向かう途中でここに来たらしい
どうやら捨て子で天涯孤独だった所に獪岳という友人が出来たがそいつも、もう居ないらしい

明るい声の裏腹に子供が背負うには重すぎる過去があるんだな

俺に…少し似ている




しばらく話して俺と真菰はAとだいぶ打ち解ける事が出来たと思う
藤襲山への行き方を聞いて来たが 生憎もうあの場所には行けない

鱗滝さんに聞く様に伝え 別れた



死なないと、Aは言っていた




…生きて帰ってこい、とは言わなかった






否、言えなかったのだ

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