純愛サクセション【TH】 (ページ21)

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着替えを済ませてからゆっくり部屋の中を見て回ると

本当に肖像画が一枚もなくて驚いた。

テヒョンが言ってた〝Aしか描けない〟

って言葉はずっと半信半疑だったのに、

もしかしたら私はテヒョンのことを誤解してたのかもしれない。

画板ごと裏返してある絵は確認してないけど

目に見えるものは全て綺麗な風景画で

小さな美術館に来たみたいでわくわくした。

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階段を下りると、

ソファーに座りながらコーラを飲んでいるテヒョンの姿が目に入った。

TH「座って。何か飲む？って言ってもコーラか酒しかないけど」

『いや…大丈夫』

TH「そう…これ今日の分」

私がソファーに腰を下ろすとスッと分厚い札束を渡されて、

『…なにこれ？』

TH「バイト代」

テヒョンは、さも当たり前のように平然とした顔で言うから

流石の私も呆れ果てた。

この人は本当に私が受け取るとでも思ったのか。

大金目当てでモデルを引き受けた女だと思われてたのか。

そんなの心外極まりない。

私は札束の中から一枚だけを抜き取って、

『あのね、1時間一万円でも高すぎるの。次からは千円札用意しといて』

強めにそう言うと、

テヒョンは面食らった顔をしながらこくこく頷いた。