悪夢が来たりて * ページ20
空が暗くなり、皆が寝静まった刻、俺は目を覚ました。
暑くもないのにベットリとした汗を掻いていた。
周りを見れば、ワンワン達やスキピオさん、それにまだ名を知らない彼。
あぁ、そうか、家じゃないのか
と皆の寝息を聞きながら、俺は思った。
俺は、夢を見た。
何年か前の、隠したくなる様な出来事。
詳しく言うならば、俺の不注意からきた落馬事故。
時折見る夢の中身であるそれは、落ちた瞬間よりも、落ちたその後の光景の方が俺を何時も苦しめる。
病室の白い天井。
痛む体。
とても、尋常ではない。
それなのに、夢の中の俺は動こうとする。
夢の中の俺が言った事、やった事は全て鮮明に覚えている。
『俺をここから出せ！！』
その時若く、早とちり、苛立つ自分は獣の様だったと
後、母から聞いた。
医者が止めても両親が声を掛けても、床を這いずりながら病室を出ようとした。
あの時は、大事な時期だったから
と未だに心の奥で言い訳する自分に腹が立つ。
そして、何より、今、いや、未だに。
胸に突き刺さる出来事がその時起きた。
あれは、俺が何時もの様に勝手に病室から出ようとした時だった。
まだ小さかったAが抱きつき俺に、涙で頬を濡らしながら言ったのだ。
『行かないで…！お兄ちゃん…死んじゃうよぉ！…お兄ちゃんが、死んだら、私 …嫌。』
今の自分なら我にかえる。しかし、あの時の自分には出来なかった。
苛立ちの余り、我が妹を突き飛ばしたのだ。
よろけたAはベッドの角にぶつかった。
鈍い音と鮮血。
そこで夢は終わる。
Aはその事は覚えていない。いや、忘れた。打ち所が悪かったのだった。
俺としてみれば都合は良かった。
しかし、不可解な事があった。
あの出来事が起きてから、
Aは何処か変わった。
瞳…の輝きが尋常ではない程妖しく光っているのだ。
隣の彼を見れば、腹を出してイビキを掻いていたので、そっと、出た腹を隠してあげた。
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猫目石(プロフ) - 再連載、めちゃくちゃ楽しみに気長に待ってますね (2022年2月9日 7時) (
レス) @page27 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
りのく(プロフ) - 更新お疲れさまです！楽しみな作品なので続きが読めて嬉しかったです。これからもどうかお体をお大事にしつつ頑張ってくださいませ……！ (2021年12月20日 13時) (レス) @page27 id: b546459b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陣羽織 | 作成日時：2019年3月26日 23時
