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「
気の弱そうな彼は、弱々しい声で挨拶をした
─────七巻家
少し前まで有名で、彼方家と並ぶ実力を持っていた家
今はもう、名は聞かないけど
私と彼が出会った当時は、彼方家と並び、追い抜かしそうな勢いだった
彼はこの時既に、自分の術式を自覚していて、わずかだが使うこともできたらしい
彼は、七巻家の次期当主だった
すぐに挨拶ができない私の背中を、父が気付かれないように叩く
産まれてこのかた、人と話をすることも、ましてや挨拶なんてしたことのない私は、どう言うべきなのか解らなかった
「···彼方Aです」
喉から絞り出したその声はとても小さく、彼よりも、弱々しかった
「すみません。躾し直しますので」
父が頭をさげる
躾とはなにか。なにか怖いことをされるのか
そうびくびくしていた私は、彼の言葉に救われた
「いえ、とても」
「かわいらしいお嬢様ですね」
さっきまで弱々しいと思っていた彼が急に、カッコよく見えた
─────
私のついて行けぬ間に、話はトントン拍子に進んでいて、私は七巻家に住むことになった
後で聞いた話だが、七巻家もうちと同じで、優秀な呪術師の子の子は、優秀な呪術師が産まれるのでないかと思っていたらしい
優秀な七巻悠斗との間の子なら尚更
嬉しそうな顔をして私を七巻家に置いていく父の背中を、私は今まで忘れたことはない
広い部屋に二人きりになった私と彼
とても気まずく、沈黙が続くなか、それを破ったのは彼の方だった
「こんにちは。僕は七巻悠斗。ゆうとって呼んでね」
丁寧にお辞儀をし、ニッコリと優しい笑みを浮かべた彼
私は慌てて頭をさげる
「かなたAです···!すきによんでくれていいです···!」
おろおろとしている私を見た彼は、また、優しい笑みを向けてくれた
「よろしくね、A」
差し伸べてくれた手を、私はおずおずと握った
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征羅(プロフ) - ぷっちさん» 泣けるだなんて・・・ありがとうございます。その辺のキャラの感情を文字に現すのが難しくて自信が無かったのですが、そう言って頂けると自信が持てます。こちらこそありがとうございます! (2021年3月9日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ぷっち(プロフ) - 凄く泣ける話ですね...。支えようとして支えきれなかった棘くんやパンダや真希ちゃんの虚しさや悲しさがとっても伝わって来てポロリと泣いちゃいました。これからどうなるのかが楽しみです!素敵な作品をありがとうございます!応援しています! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 08c7b31625 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - 鹿毛さん» こんにちは。そんなに褒めていただけてとっても嬉しいです!テンポ重視にしてるので、そこ褒めてもらえると嬉しいですね。尊敬なんてそんな・・・ありがとうございます (2021年3月1日 15時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
鹿毛(プロフ) - こんにちは。セリフのテンポが良くて読みやすいです!特に4話のレントゲンの発想が今までになくておもしろいですね!パンダくんの「おまえ酷いこというな」の流れもとてもきれいに嵌まっていていてマジ尊敬です…… (2021年3月1日 14時) (レス) id: 67d713f823 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます。原作メンバーが夢主をどう思ってるのかはもう少しして書こうと思っています。更新頑張ります (2021年2月28日 21時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:征羅 | 作成日時:2021年2月23日 12時