TEMPERANCE ページ35
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ジンとの会合のあと、気になる車を数台撒いて、Aはようやく警察庁へ戻ってきた。
「…なんなの、訳が分からない」
「まぁまぁ先輩〜、疑われてなかったことを喜びましょうよ〜」
自販機で買った紙コップの珈琲を飲んで、Aは目の前の部下をじとりと見やった。
間延びしたように話す部下は、肉体勝負の──これは比喩でも何でもないのだが、とにかく身体に優しくないこの職場において、数少ない女性であり、Aが唯一職場で愚痴や弱音を吐ける捜査官であった。
「確かに、疑いが晴れたのならこれからも潜入し続けられるけどさぁ…」
「でしょ〜?こういう時は喜んどきゃあいいんですって」
ビタミンC補給〜と言いながらオレンジジュースを口に含む彼女は、派手な髪色も相まってあまり公安の者には見えないのだが、その容姿を利用して、Aとはまた別の場所に潜伏しているなかなか優秀な捜査官だ。
「というか…先輩って割とジンさんと仲良かったですよね?」
「まあね?でもさぁ、自分を信じてくれない人間を信じろーとか言われても、無理だよね」
「あぁー、それは確かに」
「そういう訳だよ」
なるほどなぁ、と目の前の部下は呟いて、ズゴーッと紙パックに入ったオレンジジュースを飲み干した。見た目がいいのにモテないのは、こういうところじゃないだろうか。
「っあー、許さん。今日は飲んでやる」
「怪我に響きますよぉ〜」
「忘れてた…」
空いてる右手で頭を抑え、Aは深いため息を吐いた。
左足の怪我はまだ完全には治っていないため、医者からはまだ禁酒が言い渡されているのだ。
「まぁまぁ、せーんぱい。ドクターストップ解除されたら奢ってあげますって〜」
「まじで?いいレストラン上げとくわ…」
「やった!先輩のおすすめのレストランってほんといい味するんですよねぇ」
「味にはうるさいからね、私」
こうして、口調のゆるい後輩とのゆるい雑談を終えて、Aは今日の会合の件を含めた今回の事件の報告書を作りにデスクへ戻って行った。
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お久しぶりです。更新滞ってしまって申し訳ないです…あまりにも久しぶりで文章の書き方忘れました(自業自得)
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作者名:i | 作成日時:2018年5月4日 18時