闇を行け｡【降谷零】 (ページ32)

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ブラインドの隙間から差し込む朝日が目に眩しい。
Aはもぞもぞと体を動かして、けたたましく鳴り響く目覚ましを止めた。

のそりと布団から抜け出して、バスルームに向かう。来ていたスウェットを洗濯機に放り投げ、熱いシャワーを浴びれば、Aはようやく目が覚めていくのを実感した。

昨夜は、深夜までノックリストを修正して、家に帰ってからはとりあえずメイクを落として布団に倒れこんで…そのまま寝てしまった。

髪の毛の水分をタオルで吸い上げるように拭きながら、ドリップした珈琲がぽたぽたと溜まっていくのを見つめる。

今日は、ジンとの会合がある。組織の目を気にして降谷にこのことは知らせていないので、今日のことを知っているのは公安の一部の人間と、実際に会合を果たすAたちだけ。

それだけのリスクが伴うことも分かっているが、Aはそれよりもジンに喧嘩を売る…基、どうして自分が疑われていたのかを聞き出すことの方が大切だった。

確かに、私の手で人を殺めたことはないけど、それ以外のところでは組織に忠実に、尚且つ私たち警察にとってもメリットがあるように仕事はこなしてきた。
昨日、コナンくんたちにこぼしたように、いくつかの組織は事後報告で壊滅させたけども。

まさか、たったそれだけの理由で私を疑うわけがない。Aはそう考えていた。

まぁ、それはそうだろう。バーボンがアンジュの部下になったのは決してAが上に働きかけたからでは無いし、ライやスコッチと組織内で仲が良かった訳でもない。

それに、現時点において、Aの存在は組織にとってメリットだ。情報収集と処理に長け、武術も銃も卒なくこなす。組織のメンバーとも対等な関係を築いている。

ジンがAを疑っているのだとすれば、きっと、誰かがジンに告げ口したのだろう。それが誰なのか、場合によっては制裁を下すのか、今日はそれを見極めなければならない。

珈琲の滴がぽちょんと小さく波紋を広げたのを見届けて、Aはマグカップにそれを注いだ。

さぁ、今日はどの服で行こうかな。

珈琲の香りが鼻を抜けるのを感じながら、Aはクローゼットに並べられた服に、目を閉じた。

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作者です。
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