DUMBFOUNDED ページ24
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一方で、弾丸の雨に曝されているのはAの目論見通り、Aであった。
「くっ…！」
時折、脹脛や腹部を掠める弾丸が、Aの表情を消していく。
奥歯を強く噛み締め痛みに耐えながら、キュラソーのような動きを意識して観覧車の内部を移動する。
途中、驚いたようにこちらを見つめる赤井と目が合ったが、それに何とか笑って見せてAは観覧車の端まで辿り着いた。
「よっと…！！」
脚に力を込めて海へ飛び込む。ちょうどその時、Aの脚を弾丸が貫いたが、水中に潜ってしまえば恐らくサーモには写らないだろうし、Aは泳いで別の建物の影で陸に上がった。
「観覧車が…！！」
傷口をハンカチで縛り、観覧車を見上げたAは、想定していたうちの、最悪の状況を目にして固まった。
ローター音は消えているのに、観覧車がぐらりと傾き、転がり始めていた。
痛みでもはやどの位の時間が経ったかAには分からないが、子供たちは、キュラソーは大丈夫だろうか。もしまだ逃げれていなかったら…。
そう考えるや否や、Aは走り出した。
きっと降谷さんや赤井さん、そして恐らくコナンくんも観覧車を止めるべく何かしらアクションを起こしているはずだ。なら、私が出来ることは…。
Aの右手に、フェンスの向こうの工事現場に、大きなクレーンが見えた。
その時ふと何かがAの頭をよぎり、Aは思わず舌舐めずりをして、フェンスに足をかけ乗り越えた時。
Aの目指していたクレーンがクラクションを轟かせながら、フェンスを吹き飛ばし観覧車へ突っ込んでいく。
Aはそれを運転する人物を見て、息を止めた。
「キュラソー！！…くそっ、」
辺りを見渡すが、使えそうなものは観覧車を止めるには高さの足りないダンプだけで、仕方なくそれに乗り込みアクセルを踏み込んだ。
エンジンに多大な負荷をかけ、勢いに任せて方向転換し、観覧車に向けて突っ込む。
ダンプはドアストッパーの要領で観覧車に食い込み、この巨大な観覧車はキュラソーの乗るクレーンとダンプの後方を押し潰して止まった。
やがてクレーンは爆発し、その風がAの肌と髪を刺す様に焦がすが、Aはそれを気にも留めず、ただキュラソーを見つめていた。
“その条件、教えてくれる？”
“…これが終わったら私の元で働くこと”
“まさかそれが条件？”
“えぇ、悪くないでしょ？”
“…そうね、悪くは無いわ”
“なら成立ね”
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作者名：i | 作成日時：2018年5月4日 18時
