DESPERATION PLAN ページ22
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キュラソーは自身の先を行くAを追いながら、全く別のことを思っていた。
…ベルモットは彼女を、体を動かすより頭を使う方が得意だと評価していたけど、案外そうでもないのね。
器用に手摺を越え進んでいく彼女は、その足元がヒールであることを忘れさせるほど足音を立てない。
そして、その動きはどことなく、キュラソーのものと似ている。
ふとAが動きを止め、キュラソーも咄嗟に手摺に乗り移った。キュラソーはAの視線の先の人物に目を見張る。
「!!」
「なんでまた子供がいるの…二人目よ」
Aたちの存在に驚いた彼女がぐらりとバランスを崩して落ちていく。それを見たキュラソーは、Aが動くより早く飛び降りて、間一髪で灰原の腕を掴んで引き上げた。
灰原が助かったことにため息を吐いたAは、キュラソーの元へ飛び降りた。そして、キュラソーの言葉に驚きで目を見張らせた。
「もしかして、あなた…組織を裏切ったシェリー…」
「なんですって?」
Aは灰原とキュラソーに疑わしげな視線を向けるが、どうも二人の会話を聞くに、灰原が組織の一員であったことを理解し、今はそれを置いておくことにした。
「何色にでもなれる、か。今の貴女にピッタリ。それでシェリーちゃん、後で話は聞かせてね」
灰原を怖がらせないように笑いかけるが、未だ正体のわからないAに、灰原は曖昧に頷いただけだった。
「さぁ行くよ、シェリーちゃん…」
「待って!まだゴンドラに子供たちが残ってるの!!早く助け出さないと…」
「子供達が乗ってる…?チッ、風見さん一体何やってんのよ」
どうしたものかと頭を捻る。例えキュラソーが死んだとしても、ジンなら観覧車の一つくらい、倒壊させるに決まっている。
ジンの用心深さをよく知る三人だからこそ、この状況下で子供たちをどう助けるか、答えを出しあぐねていた。
そこに、耳を劈くような轟音が響いた。火花を散らして観覧車に突き刺さる銃弾が、雨のように降り注ぐ。Aは灰原の頭を抱えてしゃがむ。
「無差別に撃ってくるってことは、まだキュラソーが誰だか分かってないのね」
「そのようね…ヤツらの狙いは私…」
「まさか貴女、囮になるなんて言わないわよね?それじゃあ約束が守れないわ」
「じゃあ他に何か案があるのかしら?」
そう問うキュラソーにAはあの笑みで頷く。
「あるわ…とびっきりの、自暴策がね」
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作者名:i | 作成日時:2018年5月4日 18時