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すれ違う気持ち ページ10

いやしかし、お互いに恋仲がいないということを、確認したからどうだというのだ。

「あの、えーと……」

気まずそうに何やら次の言葉を探すAの様子にこっちまでこっぱずかしくなる。
こいつとこんな雰囲気になるのはこれが初めてだった。
何やらむず痒い感情が心臓を揺さぶる。
しかしそれは一瞬にしてかき消された。

「あの、いつか、できるといいね。お互い」
「……」

彼女のその言葉に、思わず目を見開いた。
そんなことを言われるなんて、思ってもいなかったからだ。
それがこいつの本心なのだろうか。いつかは誰か、自分が添い遂げる相手を見つけたいと、こいつも思っているのだろうか。


「……そんなことより」

モヤモヤした気持ちを取っ払うように、気まずい空気の中、冨岡は話を戻した。

「かなり狭くなると思うが、我慢して欲しい」
「いや、我慢も何も。逆にいいの?」
「他に方法がないから仕方ないだろう」
「あ、そうだよね……」

冨岡の台詞に、Aは納得して目を伏せた。

(仕方なしに、悪いことをした……)

「すみません、よろしくお願いします」

そう言ってAは静かに頭を下げる。

「謝らなくていい」

一言そう呟き、冨岡は布団を敷きに行った。
彼の優しさを改めて実感して、Aは静かに、切なく笑った。




そんなことがあって以来、Aは冨岡の家によく来るようになったのだ。
しかしあれ以来、泊まっていったことは一度もない。
さらには決まって、事前の連絡がないものだから、もしかしたら自分の不在の時に訪ねてきた日もあったのかもしれない。

しかも冨岡は一体彼女が今、どこに身を寄せているのかもすら知らなかった。

そんな気まぐれなAに、実はあの後もう一つ布団を買っていたことを告げることは勿論出来ていない。

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めろん(プロフ) - 今まで読んだ全ての作品で1番良かったです。ここまで鬼滅の刃の世界観を崩さずに、作品を作れるのは本当に凄いです。作者様の鬼滅愛を感じました。良い作品を作ってくださってありがとうございます。本当に感動しました。 (2020年5月29日 0時) (レス) id: 81c5db83e3 (このIDを非表示/違反報告)
Hashida(プロフ) - 夢小説を読んでいてよく思うのは、(このキャラこんなこと言わないでしょ)というキャラ崩壊のガッカリ感で、よく萎えていたのですが、この作品は全くそんなことなくてとても面白かったです!もう1つの作品も大好きです!頑張ってください! (2020年2月6日 12時) (レス) id: 3c3060ecea (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - かなえさん» 返信が遅れてしまってすみません。長文コメントありがとうございます笑 沢山の文字でとても嬉しいお言葉に感謝です笑  楽しんでいただけて良かったです^ ^ (2020年1月31日 14時) (レス) id: 195d1979fa (このIDを非表示/違反報告)
かなえ(プロフ) - ああああ、、、、、、!!たまに居る占ツクの文才作者や、、、。ついに鬼滅で見つけた、、、。しかも支部によくいる文章も書けて絵も描ける系のひとや、、、。あなたみたいな人を見つけることが本気稀にあるから占ツクも捨てたもんじゃないなって思います。長文失礼。 (2020年1月18日 20時) (レス) id: 507f83f0de (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 葉月さん» わかります笑 時々すごく面白い作品を見つけた時すごくテンションあがりますよね笑 葉月さんにとってそれがこの話であってくれたなら幸いです^ ^ コメントありがとうございました! (2020年1月16日 21時) (レス) id: d2a45a75c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わか x他1人 | 作成日時:2020年1月3日 9時

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