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冬の再開 ページ6

細川Aは綺麗だ。
それは、他人の顔について関心が薄い冨岡義勇でもわかることだった。
いや、もしかしたら、Aだからそう思うのかも知れない。
そんな彼女が心の底から笑う表情を見たことのある人間は、恐らく……。

「義勇?」

彼女の呼びかけで我に帰る。
自分が今考えていたことが伝わっていないかこっそり焦るが、幸い、Aは炭治郎の嗅覚のようにこちらの心理が筒抜けになる術を持っていない。

「すぐボーッとするのは変わらずだね」

冨岡が考え事をしていたことに対して、彼女は特に疑問を抱く様子はなかった。
それは普段の自分の行いのせいなのであろうが、果たしてこれは良いことなのかどうなのか。
どちらにせよ、実際、今助かったのは事実だった。

自分たち二人の関係は、特殊と言えば特殊なのかも知れない。
鬼殺隊が解散してから、定期的に顔を合わせる隊員はAだけだった。弟弟子である炭治郎とは数月に一ほどの頻度で文通をかわしているが、定期的に会うわけではない。

対するAはどうだろうか。
年に一度、必ずこの日に会っているが、実はそれだけではなかった。
彼女はどういうわけか、冨岡の家へ頻繁に訪れた。しかも、それは前持った連絡などは何もなく、ある日突然訪れる。決まった規則があるわけでもなく、数日ぶりの時もあれば数ヶ月ぶりの時もあった。
彼女のその行動を、2年たった今でも冨岡は理解できずにいる。



以前、自分が3日ほど家を開けたことがあった。
それは雪の降る寒い日だった。





仕事による疲労で困憊しながらも我が家へ辿り着くと、門の前に蹲るAがそこにはいた。

「……A?」
「……あ、義勇。おかえり」

それが、除隊後、初めて彼女が冨岡を訪ねた日だった。
彼女に名を呼ばれることが酷く久しぶりに感じたのを覚えている。そして、自分の事を下の名で呼び捨てにする人物は数少ない。

へへっと笑うAの顔は寒さで赤く染まっていた。

「……なにしてるんだこんなところで」
「なにって、私が偶然義勇の家の前で蹲ってると思ってる?」
「そういう事を言っているんじゃない」

「あはは、ごめんごめん」と、笑うAに手を差し出す。すると、彼女は少し躊躇ってから俺の手を取った。案の定、触れられた手は氷のように冷たかった。

揃った食事→←滅多にない



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めろん(プロフ) - 今まで読んだ全ての作品で1番良かったです。ここまで鬼滅の刃の世界観を崩さずに、作品を作れるのは本当に凄いです。作者様の鬼滅愛を感じました。良い作品を作ってくださってありがとうございます。本当に感動しました。 (2020年5月29日 0時) (レス) id: 81c5db83e3 (このIDを非表示/違反報告)
Hashida(プロフ) - 夢小説を読んでいてよく思うのは、(このキャラこんなこと言わないでしょ)というキャラ崩壊のガッカリ感で、よく萎えていたのですが、この作品は全くそんなことなくてとても面白かったです!もう1つの作品も大好きです!頑張ってください! (2020年2月6日 12時) (レス) id: 3c3060ecea (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - かなえさん» 返信が遅れてしまってすみません。長文コメントありがとうございます笑 沢山の文字でとても嬉しいお言葉に感謝です笑  楽しんでいただけて良かったです^ ^ (2020年1月31日 14時) (レス) id: 195d1979fa (このIDを非表示/違反報告)
かなえ(プロフ) - ああああ、、、、、、!!たまに居る占ツクの文才作者や、、、。ついに鬼滅で見つけた、、、。しかも支部によくいる文章も書けて絵も描ける系のひとや、、、。あなたみたいな人を見つけることが本気稀にあるから占ツクも捨てたもんじゃないなって思います。長文失礼。 (2020年1月18日 20時) (レス) id: 507f83f0de (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 葉月さん» わかります笑 時々すごく面白い作品を見つけた時すごくテンションあがりますよね笑 葉月さんにとってそれがこの話であってくれたなら幸いです^ ^ コメントありがとうございました! (2020年1月16日 21時) (レス) id: d2a45a75c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わか x他1人 | 作成日時:2020年1月3日 9時

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