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伝わる想い ページ27

最悪だ。こんな自分。
この人は何も悪くない。何も悪くないのに。

ただ冨岡は、ここ半年、何の音沙汰もない相弟子の近況報告を師匠から聞いたから訪ねた。それに過ぎない。何も不自然じゃない。それなのに私は。

口下手な彼を言葉で責め続けている。
言葉を発するのが苦手だと知っておきながら、そこに漬け込み、ただ、八つ当たりをしているに過ぎない。

何だこれ、最低じゃないか。

ジワジワと、手中に熱が溜まってゆく。
食い込んだ爪が皮を裂き、徐々に血が滲んでしまっていた。


自己嫌悪で自然と視線は下へゆく。
最早冨岡の顔を見ることすらできない。


その時。

冨岡が静かに口を開いた。

沈黙を破ったのは彼だった。


「……俺は、」


「俺は恐らく、何処かで安心していた」
「……?」

つづく言葉の意味を、Aはすぐに理解できなかった。


「お前が、叶わぬ相手を想っていると言った時。この先誰とも一緒になる気がないとわかったから。」

だからだ。

『布団なら買っておいた』などと、一年以上伝えられなかった言葉が、口からポロリと溢れ落ちたのは。



錆兎が居ない今となっては、Aはどこにも嫁いで行かないだろう。などと言う、何とも身勝手で浅ましい考えが自分の中にあったのだ。

できれば知られたくなかった。
自分のこんな低劣な一面を。
しかし、そこだけをうまく隠蔽して、ここへ訪れた理由を説明することは、自分には無理だ。

潔く話そう。伝えると伝えないとでは、後悔の重みが大きく変わる。


「お前が縁談を受けると言う事実を、どうしても受け入れられない自分がいた」
「……っ」


「A、俺は、土壇場になるまで、足も口も動かなかったような人間だ。
鍛冶の里でもないこの家だって、自力で探すことなど容易かった筈。
にもかかわらず、寸前までそれをしなかったのは、お前に拒まれるのを恐れたからだ」

それほどまでに、自分は彼女のことが。


こんなに長く話し続けたのはいつぶりだったか。息継ぎもせずに、一気に言伝た。

そしてやはり、最後の言葉は、一瞬躊躇われる。それを伝えるのは、どうしても覚悟が必要だった。

対する目の前の彼女は、ただ目を見開いて、話を聞いていた。何処か放心状態のように見えなくもないその表情から、彼女の心理は読み取れない。

意を消して、冨岡は次の言葉を告げようと口を開いた。





「A、俺はお前のことを……」



そこまで言った時。
Aの頬を熱いものが伝い落ちた。

漏れる嗚咽に霞む視界→←望まないこと



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めろん(プロフ) - 今まで読んだ全ての作品で1番良かったです。ここまで鬼滅の刃の世界観を崩さずに、作品を作れるのは本当に凄いです。作者様の鬼滅愛を感じました。良い作品を作ってくださってありがとうございます。本当に感動しました。 (2020年5月29日 0時) (レス) id: 81c5db83e3 (このIDを非表示/違反報告)
Hashida(プロフ) - 夢小説を読んでいてよく思うのは、(このキャラこんなこと言わないでしょ)というキャラ崩壊のガッカリ感で、よく萎えていたのですが、この作品は全くそんなことなくてとても面白かったです!もう1つの作品も大好きです!頑張ってください! (2020年2月6日 12時) (レス) id: 3c3060ecea (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - かなえさん» 返信が遅れてしまってすみません。長文コメントありがとうございます笑 沢山の文字でとても嬉しいお言葉に感謝です笑  楽しんでいただけて良かったです^ ^ (2020年1月31日 14時) (レス) id: 195d1979fa (このIDを非表示/違反報告)
かなえ(プロフ) - ああああ、、、、、、!!たまに居る占ツクの文才作者や、、、。ついに鬼滅で見つけた、、、。しかも支部によくいる文章も書けて絵も描ける系のひとや、、、。あなたみたいな人を見つけることが本気稀にあるから占ツクも捨てたもんじゃないなって思います。長文失礼。 (2020年1月18日 20時) (レス) id: 507f83f0de (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 葉月さん» わかります笑 時々すごく面白い作品を見つけた時すごくテンションあがりますよね笑 葉月さんにとってそれがこの話であってくれたなら幸いです^ ^ コメントありがとうございました! (2020年1月16日 21時) (レス) id: d2a45a75c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わか x他1人 | 作成日時:2020年1月3日 9時

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