高鳴る鼓動1 （ノーマン） ページ38
「ねえ」
ぼんやりとした意識の片隅で誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえた。
その対象が自分だと思わなかった私は反応を見せずにいた。
「呼んでるんだけど」
「え」
ずいっと、無理矢理視界に入ってくるその人物。
「ノーマン、呼んだ？」
「うん。まあ」
私の返答に、彼は困り顔で笑った。
「何度も呼んだんだけどな」
「…申し訳ない」
俯いて謝罪する。
昔から私は一人で考えに耽ってしまう事がある。
そしてその時は何度呼ばれても気がつかないのだ。
「今回は何をそんなに考えてたの？」
これくらいは聞いてもいいよね？という風にノーマンが言った。
「えーっと」
思わず口籠り、苦笑いをする。
別に隠しておきたい事でもないが、進んで言いたい事でもなかった。
その反応にノーマンは目を丸くした。
「言えない事？」
私の様子を見て、あまり深く詮索しない程度に、話せる内容なのかを探ってくる。
決して強要はしてこない。
そこまで気を使ってくれているなら、別にいいか。
「ただ、ふと思っただけなんだけど」
話の重要性の低さを伝えるために、そう切り出す。
「私って、なんで女なのかなーと思って」
「え？」
あからさまに、ノーマンが固まった。
そんなあまり目にしない姿に少し笑えてくる。
「えーっと、それは……」
珍しく言葉を詰まらせているそいつ。
恐らく、慎重に次の言葉を選んでいるのだろう。
「男になりたいって事？」
その問い掛けにあまりピンしない様子で私は答えた。
「別に『男になりたすぎて仕方ないっ！女が嫌で死ぬっ！』って感じじゃなくて」
そう言ってから、駄々をこねている自分の姿が思い浮かんでしまって少し笑った。
しかし、目の前の人はまだ戸惑っている様子だ。
「ただ、自分が女の子って事に違和感があるっていうか」
そこまで言って、チラリとノーマンを見る。
本当の理由は、それだけでは無いけれど、絶対に言えそうも無いし、言いたく無い。
しかし、感の鋭い彼はそれを問い詰めてきてしまった。
「なんでそう思ったの？」
「え」
「なにか、原因とかあるんじゃない？」
その問い掛けに、やはりこの人に話したのは間違いだったかもしれないと、少し後悔する。しかし、もう遅い。
「い、いやー、何故でしょう……」
ハハハと、笑いながら答える私。
嘘が下手にも程がある。
そんな私を、困ったように笑って見つめるノーマン。
嘘だとバレていても仕方ない。
だって、言える訳ないじゃないか。
君を意識してしまうからだなんて。
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わか(プロフ) - 扇子さん» 好きだと思っていただける作品があってよかったです^ ^コメントありがとうございました。 (2019年2月22日 23時) (
レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - レイ(現在アカ開けない)さん» こんにちは。コメントありがとうございます。2人とも最高の癒しですよね本当に笑 こちらこそありがとうございます！ (2019年2月22日 23時) (レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - はじめまして。短編すごくキュンキュンしました。特にノーマンの発熱が惑わすが最高でした。好きです。とても良いものを見せてもらいました。ありがとうございます。後編の方も楽しみに待ってます。 (2019年2月10日 1時) (レス) id: a5b4ebbb14 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(現在アカ開けない) - こんにちは、レイと同じ名前のレイといいます(笑)。小説面白かったです。ノーマンの笑顔ってもうかわいいことこの上ないですよね。レイでも癒やされノーマンでも癒やされました。有り難う御座いました。 (2019年2月8日 22時) (レス) id: bdf972c5dd (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - テントウムシさん» コメントありがとうございます！ノーマンかっこいいですよね〜！癒しなんて言っていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年1月19日 18時) (レス) id: 0a9329453a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わか | 作成日時：2018年1月20日 21時
