その原因（レイ） ページ25
※『食事』のレイ視点になります
ーーーーーーー
カチャカチャと食器のぶつかる音。
ガヤガヤと耳に届くそれぞれの話し声。
そんな周りから切り離されたように、ボーッとさっきから動きの止まっているAと、その様子を黙って見つめる俺。
ここ最近、こいつはよく食事中に動きが停止する。
「A」
「なに？レイ」
瞬時に、こちらへ目を向け、すまして答えるA。
こいつは突然声を掛けられた時に、取りつくろう癖がある。
「いや、手止まってるけど」
「え？」
そしてそいつは自分の手を見るなり苦笑した。
「あー……、ボーッとしてた」
「うん、だろーな」
このパターンももう慣れた。
明らかに、ここ最近のこいつの様子はおかしい。
何か、物思いにふけっている時間が増えている。
……まさか、な。
「A」
再び俺はそいつの名前を呼んだ。
「え？」
それに驚き、Aは少し口からスープを零す。
そんな様子を、俺はじっと見つめた。
…恐らく違う。
もしAが、
だから違う。それは分かる。
じゃあ、何をそんなに考え込んでる？
何がお前を、そこまで機能停止させてる？
「な、なに、今度は」
口を拭いながら、返事するA。
特に用事は無かった俺は適当に返す。
「いや、呼んだだけ」
「はあ？」
俺の返答に、Aはあんぐりと口を開けてこちらを凝視した。
面白い顔だな。そう思いつつ立ち上がる。
「ご馳走さま」
「やば……」
「慌てて食って、また零すなよな」
俺が席を立つのを見て焦り出すそいつに、一言茶々を入れて、部屋を出ようとする。
「いや、誰のせいだと……」
小声でAがそう呟いたが、聞こえないフリをした。
1人焦るそいつを置いて出て行こうとした時、Aを見つめるノーマンの姿が目に入った。
その事に不思議と胸が騒つく。
チラリと、ノーマンの視線の先へと目をやれば、Aもそいつの視線に気がつき、丁度2人は見つめ合うような状態だった。
ズシリと、急に体が重くなるような感覚。
耐えられず、すぐに部屋から出た。
あいつをフリーズさせているその原因が、ノーマンであって欲しく無いと、心のどこかで願っている自分がいる事に、その時の俺は気づかなかった。
ただ、フツフツと湧き上がる胸の奥の歪を不快に感じ、ひたすら考えない様にする事しか、俺には出来なかったのだ。
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わか(プロフ) - 扇子さん» 好きだと思っていただける作品があってよかったです^ ^コメントありがとうございました。 (2019年2月22日 23時) (
レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - レイ(現在アカ開けない)さん» こんにちは。コメントありがとうございます。2人とも最高の癒しですよね本当に笑 こちらこそありがとうございます！ (2019年2月22日 23時) (レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - はじめまして。短編すごくキュンキュンしました。特にノーマンの発熱が惑わすが最高でした。好きです。とても良いものを見せてもらいました。ありがとうございます。後編の方も楽しみに待ってます。 (2019年2月10日 1時) (レス) id: a5b4ebbb14 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(現在アカ開けない) - こんにちは、レイと同じ名前のレイといいます(笑)。小説面白かったです。ノーマンの笑顔ってもうかわいいことこの上ないですよね。レイでも癒やされノーマンでも癒やされました。有り難う御座いました。 (2019年2月8日 22時) (レス) id: bdf972c5dd (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - テントウムシさん» コメントありがとうございます！ノーマンかっこいいですよね〜！癒しなんて言っていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年1月19日 18時) (レス) id: 0a9329453a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わか | 作成日時：2018年1月20日 21時
