発熱が惑わす1 （ノーマン） ページ15
「だから言ったのに」
「何が？」
「何がって！」
ニッコリと笑ってとぼけるノーマンに、私はため息をついた。
それと同時に少し咳き込む。
「大丈夫？A」
「ゴホッ……だ、大丈夫」
隣のベッドから少し身を乗り出して私を心配するノーマン。
そんな彼の頬も、熱のせいかほんのり赤い。
「寝てていいよ。辛いんでしょ？」
「Aほどじゃないよ」
そう言って笑って見せても、少し息が荒いのが見てわかる。
嘘つき……
心の中でそう呟いた。
いつもそうだ。この人は。簡単に笑って、嘘をつく。
「だから勘違いされるんだよ」
「A、何か言った？」
「なんも」
少しむくれて、私も嘘をついた。
しかし、全て分かっているかのように微笑みながらこちらを見つめるノーマン。
そんな彼の視線が、私は苦手だった。
まるで、私のことなんかお見通しだとでも言っているような……。
『ノーマンて、Aのこと好きなんじゃない？』
いつか、ギルダに言われた言葉を思い出す。
そんな訳ない。 だってノーマンは……。
「A？」
「え」
呼ばれてハッと気づく。
いつもならすぐに逸らしてしまう筈の彼の視線を、無意識のうちに見つめ返してしまっていたようだ。
「考え事してた」
「誰のこと？」
「え？」
『ふーん』
それだけで終わると思っていた私は、質問された事に驚く。
誰って、どうして人の事だと限定したんだろう？
まあ、当たってるんだけど。
「……ひみつ」
「僕のこと？」
「はい？」
ニコニコ笑って問いかけてくるノーマン。
やっぱり、熱のせいかいつもより様子がおかしい気がする。
「違うよ、ギルダだよ」
嘘は言っていない自分にそう言い聞かせた。
「なんだ」
ノーマンが少し残念そうに呟いた。
そんな態度とったりするから、ギルダが勘違いするんだよ。
いや、ギルダだけじゃない。
私自身、実際少し疑った。
そんなことないとわかっていても……。
ノーマンはみんなに優しいだけなんだ。
みんなに変わらず、エマ以外の女の子にも優しくしてくれる。ただそれだけ。
私は所詮、『エマ以外女の子』にすぎない。
「A？」
「え？」
「また考え事？」
また……
私は再び、ノーマンを見つめながら考えにふけってしまっていた。
「ううん、ボーッとしてただけ」
また変に詮索されるのが嫌で嘘をついた。
熱のせい。熱のせいなんだ。
そう思い込もうとしていた時、
急にノーマンが起きか上がった。
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わか(プロフ) - 扇子さん» 好きだと思っていただける作品があってよかったです^ ^コメントありがとうございました。 (2019年2月22日 23時) (
レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - レイ(現在アカ開けない)さん» こんにちは。コメントありがとうございます。2人とも最高の癒しですよね本当に笑 こちらこそありがとうございます！ (2019年2月22日 23時) (レス) id: 0e40a74b11 (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - はじめまして。短編すごくキュンキュンしました。特にノーマンの発熱が惑わすが最高でした。好きです。とても良いものを見せてもらいました。ありがとうございます。後編の方も楽しみに待ってます。 (2019年2月10日 1時) (レス) id: a5b4ebbb14 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(現在アカ開けない) - こんにちは、レイと同じ名前のレイといいます(笑)。小説面白かったです。ノーマンの笑顔ってもうかわいいことこの上ないですよね。レイでも癒やされノーマンでも癒やされました。有り難う御座いました。 (2019年2月8日 22時) (レス) id: bdf972c5dd (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - テントウムシさん» コメントありがとうございます！ノーマンかっこいいですよね〜！癒しなんて言っていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年1月19日 18時) (レス) id: 0a9329453a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わか | 作成日時：2018年1月20日 21時
