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124話 ページ9

大河の少しか細い低音が、鼓膜を揺らし、頭がその意味を理解するのに、いつもより時間がかかってしまった。




恭介と、別れる……?




冗談かとも思ったけど。



真っ直ぐと私に向けられた、色気も漂わせるその双眸の真剣さに、冗談なんかじゃないって分かった。





困惑して眉尻を下げた私に、大河は嘲笑して。


その嘲笑は私じゃなくて自分自身に向けたもののように見える。




大「叶えられねぇよな?」


「え、っと……」




私が返事に困っていると、目の前で歪められた大河の顔。


それを見て、ギュッと心臓を鷲掴みにされたような感覚が全身に広がり。



喉が張りついたようなそこに、何かが込み上げてきた。




と。大河が無理矢理に笑みを作って、



大「悪い。変な事、言った」


スッ、と私から離れて立ち上がる。



「た、い……が!」


大「っ、A……?」



振り返った大河の驚いた顔が目に飛び込んできて、ハッとした。



私の手は大河のTシャツを掴んでいて。


無意識に手を伸ばしていたのだと気付く。




大「A……、どうした?」

「あ、えっと……」



どうした?、なんて聞かれても、それは無意識にしてしまった事な訳で。



理由なんて、分からない。




「何でも、ない……」


大「そうか」



いつもと違うその笑みのまま、ドアノブを掴んだ大河に。


『待って』なんて言葉が口から飛び出しそうになる。



けど、何か用がある訳でもないのに、そんな言葉は言えなくて。


ただ、ドアを開ける大河を見つめた。




ぼんやりと、でも確かに存在している何かは、私の心の奥底に沈んでいる。



けど、その何かがなんなのかは全く分からなくて、どうしたら分かるのかさえも、全く分からない。





「……大河」


大「ん?」



少しこっちに振り返った大河の横顔に、喉がギュッと詰まった。



なんだか目を合わせていられなくて、目を逸らしたのに、どこを見ているのが自然なのか悩む。




視線を泳がせながら、口を開き、


「大河は、花火大会………行くの?」


紡いだ言葉は、少しばかり震えていたように思う。


大河は一度『なんで?』というような疑問符を浮かべたような顔をした。




そして、


大「あぁ、行くよ」


「……誰と?」


大「南と」


「2人、で……?」


大「あぁ」




南ちゃんと花火大会に行くのだと言った。

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設定タグ:幼なじみ , 純愛 , 取り合い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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めろんぱん(プロフ) - …いやー、ハマりました!ね! りょーくんさん、神すぎますね。見習いますね。 (2013年7月16日 17時) (携帯から) (レス) id: c6057a8c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょーくん | 作成日時:2013年7月16日 16時

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