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120話 ページ5

夏の暑さとは異なる、恥ずかしさが作り出した熱のせいで、体が暑い。



大「照れてんのかと思った」

「え?」

大「違った?」



髪を束ねながら、私の耳元で口にされた言葉に、ドクン、心臓が跳ねる。



大「俺に髪触られて、恥ずかしかったんじゃねぇの?」

「っ!!―――…そんな訳ないでしょ!」



大河の言う通りだけど、認めるのは恥ずかしくて出来なくて反論した。



クスリ、と口角を上げて微笑し、大河は私を覗き込む。


大河は大概いつも口を開けてケラケラと笑うから、こんな笑い方をするのは珍しい。


そんな大河の珍しい微笑は、妙に妖艶で色気が漂っていた。



大「だからさ、」



その表情のまま、いつもより低く甘い声音で。



大「嘘吐くの下手なんだよ」



そう言って、私の頬を指先でそっと撫でた。



大「本当は恥ずかしかったくせに」


「ち、がう……よ」


大「本当はどう思ってたか言えよ」


「………っ、絶対……言わない」


大「言え、って」


「大河だって!……嘘吐くの下手じゃん」



口走った言葉に、ハッと口をつぐむ。


言わない方が良かったんだろうか。

気付かないふりをしてた方が良かったかもしれない。


そう思ったけど、後悔先にたたず、で、



大「なんだよ、嘘って」



大河はそれを聞き逃してはくれなかった。


射ぬくような視線は私から離されなくて、詰め寄られた私は仕方なく口を開く。


射ぬくような視線は私から離されなくて、詰め寄られた私は仕方なく口を開く。



「浴衣………、買って来てくれたんでしょ……?」


咲季さんのじゃなくて、家にあった物でもない。

買ってきてくれた物でしょ?、と繰り返して聞くと、大河は少しばかり目を見開いてから。



「あー。……まぁ、な」



私から目を反らし、肯定した。




その表情はなんだか少し不機嫌そうで、だけど頬はほのかに赤くなっていて。


ばれた事に照れてるのかな、なんて推測してみる。



大「欲しそうに見てただろ?」


目だけを私に向けて、言った大河を、私は鏡ごしに見つめた。



「うん」


大「Aに似合うと思ったから買ったってだけだから」



高かった浴衣を大河が買った理由は、それをどんな思いで言っているのかは理解できない。




だけど、鏡に映る大河はやっぱりどこか照れくさそうだった。

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設定タグ:幼なじみ , 純愛 , 取り合い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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めろんぱん(プロフ) - …いやー、ハマりました!ね! りょーくんさん、神すぎますね。見習いますね。 (2013年7月16日 17時) (携帯から) (レス) id: c6057a8c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょーくん | 作成日時:2013年7月16日 16時

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