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131話 ページ16

こんなにも切実に心の底から悩み、願っている南ちゃんに。


軽い気持ちで『誰が好き?』なんて聞く事は出来ず、言葉に詰まる。





「ううん、なんでもな……」


なんでもない、そう言葉を紡ぐはずだった。



が。神社の石段を駆け上る足音に目をやった次の瞬間。



私は、首に腕を回されて、ナイフを突き付けられていた。




不自然に途切れた言葉の続きを紡ぐ余裕さえ、あれよあれよという間に無くなっていく。




「………Aちゃ……ん」



震える声を零した南ちゃんと、体に感じる強い力。



パニックに陥っている頭でもヤバイという事だけは分かった。



男「さっきはよくも、あんな事してくれたな」


「……っ」


男「南ちゃんの欲しい物、君持ってるんだろ?
君がいなければ全て上手くいくよね?ねぇ、南ちゃん」



クックッと不気味な笑いと共にそう静かに口にしたソイツは―――南ちゃんのストーカーだった。



男「だから、僕が消してあげるよ。
そうしたら、南ちゃんは喜ぶでしょ?」


南「……ち、がう」



南ちゃんは、違うと、そう言ったように思う。


あまりにも消えそうな程に震えた小さな声だった。



ゆらゆらと瞳に水を携えている南ちゃんの顔は、ひどく怯えている。





金属のヒヤリとした感触を首に感じて、バクバクと心臓が跳ねているのに気付いた。


嗚呼、どうしよう。



全身に広がっていく恐怖に、どうするべきか、考える事も出来なくなって。





ただ、ただ、助けてほしい。



それだけしか考えられなかった。





ゾクリ、ナイフの刃が皮膚を破ったのか、鈍い痛みを感じて。



「た、すけて………。助けてよ!!」



無意識のうちにそう叫んでいて、だからこそ、それが本心だった。



涙が溢れそうになってきて。




あんまり、誰かにお願いなんてしない私がしたお願いを叶えてくれない神様は残酷だな、なんて思った。




と。石段を靴が蹴る音が鼓膜を揺らした。




大「言われなくても助けるっつーの!!」



今度は、聞き覚えのある声が鼓膜を揺らして。



そっと目を開ければ、物凄い形相で走ってくる大河の姿を視界にとらえた。




助けに、来てくれた。



大河が、助けに来てくれた。

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設定タグ:幼なじみ , 純愛 , 取り合い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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めろんぱん(プロフ) - …いやー、ハマりました!ね! りょーくんさん、神すぎますね。見習いますね。 (2013年7月16日 17時) (携帯から) (レス) id: c6057a8c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょーくん | 作成日時:2013年7月16日 16時

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