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138話 ページ8

お祭りの翌日。恭介から『別れて』と、あまりにも簡潔に綴られたメールを携帯が受信している。




別れたくない、と答えたくても『別れてほしい』ではなく『別れて』と綴られているだけに。


話し合って済む事もないのだろう、と。YESと答えるしかないのだろう、と。分かってしまった。



私たちの関係は返信をすれば終わってしまう。




だから私は、あれから20日以上が経っているけれど、未だに返信をしていない。


【返信】というボタンさえ押せないでいる。




南「勉強、しようか」


空を見上げる私を見ていた南ちゃんは、筆箱を取り出して優しく微笑する。




南「まだ返信出来てないんでしょ?」


「うん」


南「今日ぐらいは、その事忘れて気楽に勉強しよ」


「気楽に勉強って」



静かに笑みを零し、レポート用紙をテーブルに広げた時。




カタリ、静かに引かれた隣の椅子にふ、と目をやった。



「――――っ!」



私を見て目を見開いたのは、椅子を引いた人―――恭介だった。




眼鏡ごしでも分かる程に見開かれた目。



私だけを捉えているその瞳に、ブアッと、脳内にお祭りの日の出来事が浮かんでくる。





恭「A……」



そっ、と。優しく私の名前を呼んだ、久しぶりに聞く柔らかな低音。




「………きょ、う……すけ」



口に出した自らの声はあからさまに震えていて、どうしたらいいのか分からず、微かに体まで震え始める。




いくら私が返事をしていなくたって、別れているも同然なのだ、私たちは。


恭介は、元彼なのだ。




南「Aちゃん―――…!」


静かな自習室内では普通の声が、とてもよく響く。




南ちゃんの声音は、椅子から立ち上がり自習室のドアまで走っていた私にも、他の利用者にも聞えていた。



利用者の多くは、私と南ちゃんを交互に見たあと、複雑な表情を浮かべる恭介を見ている。





気まずい空気と、決して私から視線を離さない恭介から逃げるように。



ドアを開け、その場から走った。

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設定タグ:幼なじみ , 取り合い , 純愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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れいか(プロフ) - 一日でこんなにたくさん書けて凄いです!更新頑張ってください! (2013年7月18日 21時) (レス) id: 6987978d75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょーくん | 作成日時:2013年7月17日 19時

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