優しさは、時に棘になる (ページ13)

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#13 ページ13

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口が開いたままこの状況が理解出来ずにいた

目の前にいた彼はアイスを食べてお金を払って出てしまった

やっと状況を理解した俺は階段をかけ上がる

奥の部屋に向かいドアをノックしても返事がない

〈ごめん。入るね？〉

ドアを開けると布団を頭まで被ったAさん

〈調子どうかな？〉

問いかけても返事はない

そりゃそうだ

きっとAさんにとっては会いたくなかった人と出会ったのだから

〈良かったら一緒にご飯食べない？〉

「、、食欲ないんで」

〈でも食べないと元気でないし風邪も治らないよ？〉

「、、風邪引いてない」

いや倒れてたよ？

「阿部さん」

〈ん？〉

「、、彼の元へ帰ったほうがいいのでしょうか？」

そんなことなんで俺に聞いちゃうかな、

帰ってほしいわけないでしょ、

Aさんのこと本当に好きだから

だから行かないでほしい

でもAさんのためなら

〈Aさんが決めるべきだよ〉

なんてまた俺は良い人を演じてしまう

あぁ、5年前も言われたよ

“亮平は優しすぎる“って

「阿部さんは優しいね」

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