優しさは、時に棘になる (ページ1)

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『Aお迎え来たで！』

『これAの好きなやつ！買ってきたから一緒に食べよ？』

『髪乾かさんと風邪引くで？乾かしたるよ』

これくらいの優しさなら嬉しかった

私のことちゃんと考えてくれてるんだって

でもその優しさは私だけじゃなかったみたい

『ごめん。。友達が相談事あるらしくってちょっと出かけるな、？』

最初はさ、男友達だって思ってたんだ

まさかね、この時は思わなかったよ

相手は女で、しかも元カノだって

気付くべきじゃなかった

このことも

彼の優しさも

彼の存在すらも

今では棘のように痛くて仕方ない

「康二くん、、」

『ごめん！すぐ帰ってくるから待っといてな！』

行かないで、なんて言えない

だって康二くんにとってはその子も大事なんだもん

もうこれで彼があの子の元へ走り出したのは10回目

私が行かないでと言えば行かないのかな

行かないでと言えば不機嫌になって怒っちゃうかな

むしろそれで良かった

この棘が無くなるのであれば、それで

それで良かっただけなんだよ

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