良かった? ページ32
坪井「俺はお母さんからお前を説得するように頼まれた。自分が言えばお前は無理をしてでも大会に出るだろうからって……
でも俺が言っても同じだと思った。俺にはああいうやり方しか思い付かなった」
水越「…っ、なにそれ……全部私の為だったって言うの?」
坪井「でも、結果的にそれがお前を苦しめて居たんだな……
本当に申し訳なかった」
そう言って坪井は深く頭を下げた。
水越「ずるいよ……何で今更?そんなのないよっ!」
坪井の思いが水越に伝わったのか、瞳から雫を落とした。
___バンッ!!
水越に近付いた柊は突然パソコンを勢いよく閉じた。
その音に驚き、「わっ、」と小さく声を出したが、皆柊の方に集中していて誰にも聞かれていないようだ。
柊「水越、今の話を聞いてもまだ坪井先生を疑うのか?」
水越「……知らなかった。
私の体の事も、先生が苦しんでた事も何も知らなかった」
柊「なのにお前は、坪井先生に逆恨みをしてこの動画を撮った」
水越「どうしよっ、そんな動画……どうしたらいいのっ……?」
自分がやってしまったことに水越は後悔し、不安や焦りの色を瞳に映して下を俯く。
柊「この動画はネットに流れてない」
その言葉を聞いた瞬間、水越は顔を上げて柊を見た。
柊「結城が動画を投稿する前に止めたんだ」
あの後結局先生が止めたんだ、と思いながらちらりと水越の方に行く結城を見た。
水越「っ!?」
水越は驚いた顔で結城の方を振り返った。
結城「...ごめん……黙ってるように言われて…」
水越「...なんだ...はぁ……」
水越は安心したのか力が抜けるように床に座り込んだ。
水越「っ、良かった……」
____『良かった』?
水越の発した言葉に違和感、というか疑問を抱きながらも冷たい目をしている柊を見た。
全員も動画が流されていないことにより安心感を感じている中、柊が水越を軽く蹴り飛ばした。
水越は自分が何をされたのかまだ理解が追い付かず、酷く驚いた顔で柊を見上げる。
柊「何が良かったんだ。おい、何が良かったんだ」
柊は水越の襟元を乱暴に掴んで無理矢理立たせ、彼女を扉の方に突き飛ばした。
柊「お前がこの動画をネットに流そうとした事に変わりはない。違うか?」
水越「っでも……」
648人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2019年2月3日 19時