何の用 ページ3
Aは「やだなぁ、先生の机を見たいって思う程の感情は一切持ち合わせてないよ」と否定するように手を横に振る。
柊は準備室に行き、暫くして落ち着いた様子で美術室に出てきた。
「ふふ、先生あと6日生きられるかな?」
柊「……生き抜くよ、全力で」
Aは柊の身体のことも含めてそう言うと、柊もその意味を理解して言った。
柊「で、本当に何の用?」
「あ、そうだそうだ。郡司くんのことだよ」
まさかその話題が出るとは思ってなかった柊は少しだけ目を見開いた。
Aは「彼、所轄に戻っちゃったらしいね。残念だ」と警察と柊しか知らないことを軽々と言った。
柊「どこでそれを?」
「未来ある若者を彼の選択ミスで一気に五人殺しちゃったんだから事件から外されるのが妥当だろ?」
「普通に考えてわかるじゃん」とでも言いたげなその言い方に柊は何も言わなかった。
「でも、先生にとってはこれが『狙い』だった」
柊「……」
何も言わない柊に目もくれず、彼女は話す。
「甲斐くんを唆した首謀者を郡司くんに別方向から叩いて貰おうって考えてるでしょ」
柊「……どうやって?」
「アジトのタレコミを流すとか?」
柊は最早驚くこともせず、ただ薄らと笑って「お前、本当に高校生?」と冗談めいたことを言うしかなかった。
彼女は「華のJK」と言ってピースをした。
「先生の時間と真実……どっちが先に終わるか楽しみだよ」
そう楽しそう笑い、柊に手を振って教室へ戻って行った。
甲斐「……」
甲斐を囲む兵頭、立野、光永、不破、須永。
時間は7時45分を指していた。
兵頭「もうすぐ8時だ。どうすんだよ」
甲斐「どうもしねぇよ。全部俺がやったつってんだろ」
光永「そうじゃねぇから、ここまで長引いてんだろ!?」
うむ。光永くんの意見に同意。
彼女はそんなことを思いながら彼らの会話を横目に見ていた。
甲斐「……」
光永「柊は全部知ってる……動画を加工したのは別にいんだろ!?」
石倉「オメェら、喧嘩売ってんのかよ」
不破「本当のこと言わねぇなら力ずくででもどうにかしてやるよ!」
須永「上等だよ」
須永が不破に掴みかかる。
そしてそれをきっかけに喧嘩が始まる。
バンッ
柊「楽しそうな喧嘩だねぇ」
教室に笑顔で入ってきた柊。
面白いものを見るように目を細めている。
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作成日時:2019年2月3日 19時