彼氏 ページ16
甲斐「ここに残って、真実を探す……それが俺たちのためだって言うのか?」
甲斐が問い掛けると、里見や中尾は頷く。
兵頭「でも、フェイク動画を作ったのはベルムズっていう半グレ集団なんだろ?手の打ちようがないだろ……」
堀部「先生は……諏訪さんが鍵を握ってるって言ってた」
すると、全員の視線が一斉に諏訪に向く。
諏訪「……何」
水越「そう言えば唯月の彼氏、『正臣』って言ってたよね?」
石倉「 確か……ベルムズのリーダーは、」
甲斐「喜志正臣……」
甲斐の一言でまた諏訪に視線が向く。
諏訪「私は関係ないから」
そう言い、諏訪はクラスメイトの視線から逃げるように鞄を持って美術室を出て行った。
甲斐「諏訪のやつ、喜志と付き合ってたのか……」
全員が諏訪と喜志との関係性を知ったところで、美術室にある椅子に座っていた。
水越「多分間違いないと思う。業界に顔が利いて、今の芸能事務所に入れたのも彼氏のコネだって……」
石倉「てか、半グレってそんな力強ぇのかよ」
甲斐「ベルムズは特別だ。色んな繋がりがあるらしいからな」
Aは甲斐を見て、「それよりもさっき何で私まで鍵の解除しろって脅されたのかなぁ?」と聞くと、甲斐は「悪かって言ってるだろ」とバツが悪そうに言う。
「謝罪の言葉は聞いてない。理由だよ、理由」
甲斐「……お前何でも知ってんだろ」
「うわ、それ偏見って言うんだよ?偏見。まあ知ってるけど」
そう言うと、甲斐に軽く頭を叩かれ仕方なく黙る。
宇佐美「でも唯月、フェイク動画のことは知らなかったよね……」
「諏訪ちゃんがフェイク動画のことを知らないのは本当だろう。
でも、関わりはなくても諏訪ちゃんは何か情報を持ってる。
彼女も彼女なりに葛藤してるんでしょ」
また静かな時間が流れた。
「で、結局どうするの?」
花岡「どうするって何が……」
「ここに残るか、残らないか」
誰も喋らない中、宇佐美が問う。
宇佐美「Aは、どうするの……?」
全員の視線がAに向くと、彼女はにっこりと笑った。
「もちろん、残るよ」
宇佐美「なん、で……」
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作成日時:2019年2月3日 19時