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禅院の子 ページ2

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まぁ、初めまして。

禅院家に転生しました"禅院 紘来(ヒロキ)"です。

それと…



「あ?どうした紘来」

『ううん。なんでもない』



8歳上の兄・禅院甚爾さん。

因みに私は甚爾兄様と呼んでいる。

他にも腹違いの兄達がいるが、私が呼ぶのは甚爾兄様だけ。



甚爾「紘来。お前なんでいっつも、俺の側に居るんだ?本家の奴らに怒られんだろ?」

『おこられる。けど、わたしにとってのあには、どーじにいさまは、ただひとり。いちばん、しんらいできるのも、とーじにいさまだけ』



ここの奴らは屑の集まりだ。

「呪術師に非ずんば人に非ずん」なんてクソな考えを持つ奴らばっか。

んでもって、甚爾兄様は天与呪縛のせいで呪力を一切持たない代わりに、身体能力が人よりも高い。

私は呪力を持って生まれたのだが、何故か白髪紅眼と、アルビノのそれだ。

まぁ、前世から好きな容姿だからいいけど。



『ここにいるのは、ただのごみ。はなすかちなし』


甚爾「ははははは!!さっすが、俺の妹だ」



首が捥げるかもしれないってぐらいに頭を撫でられる。

甚爾兄様は、力加減をよく分かってないと思う。

でも、その強くて大きな手は、私が一番好きなもの。



『とーじにいさま。わたし、このいえ、いつかでます。このままでは、こころがしにそうです』


甚爾「あぁ、そうだな。そん時は、俺も一緒に出て行く。兄様に任せとけ」


『はい』



優しく笑う甚爾兄様。

やはり信頼できる人間は甚爾兄様だけですね。

はぁ、早くここから出て行きたい。

それに、前世の私には可愛らしい"恋人"がいる。

もしかしたら、"アイツ"と一緒にこの世界に来ているかもしれない。



『でるまえに、ちからをつけなければ。とーじにいさま。わたしに、たたかいかたを、おしえてください』

甚爾「いいぜ。だが、それはお前が5歳になってからな?今のまんまじゃ、手加減しても殺しちまいそうだからな」

『わかりました。がんばります』



絶対手加減できないだようよ甚爾兄様。

5歳までに、書物で読んだ反転術式ならぬものを習得できないかな〜。

まぁ、無理だろうけど。

息も詰まるような日々に、私は溜息をこぼした。

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作者名:黄昏時 | 作成日時:2021年2月4日 17時

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