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アンダーグラウンド・ラヴ【8】 ページ33

私の近所には、文豪の先生が住んでおります。
私は女の身ながらも本が好きで、文豪の先生がこの地に越してきたと聞き、彼の家を訪れました。
深緑色の着物を纏った先生は嫌な顔をせず私を招き入れてくださりました。
彼の本は何度か読んだことがありました。その独特な世界観に私は心奪われ、彼にそのことを伝えました。
拙い私の言葉に、彼は照れ臭そうにはにかみました。
私はその時、はじめての恋を経験したのでございます。

それから私は、先生の家へと通い続けました。彼は嫌な顔ひとつせず、私を可愛がってくださいました。
執筆のためでしたら必要最低限の生活すら無視をする先生の家へ行き、料理や掃除などの家事を行いました。通い妻の真似事が私はとても楽しかったのです。
先生からしてみれば、小娘の戯れに付き合ってくださっただけなのかもしれません。
それでも、私の作った料理を嬉しそうに食べてくださる先生が、私は愛おしかったのです。私の恋心は膨らむばかりでした。
そんな恋心に、彼は答えてくださったのです。

彼の家にはじめて訪れた頃から、季節がふたつほど過ぎた頃でした。
いつもの様に彼の家へと訪れた時のことです。先生は私に原稿用紙を渡しました。
「これ、Aに読んで欲しいんだ。」
「私に……?そんな、私が一番に読んでしまっても、よろしいのですか?」
「いいんだ。お前だけに読んで欲しくて書き上げたから。」
そんなことを言われて嬉しくない人間が、一体どこの世界にいるというのでしょうか。私の心臓は高鳴っておりました。
私は震える手で原稿を受け取りました。
それは、甘酢っぱい恋の物語でした。
とある土地に越して来た“先生”が、本が好きなとある“少女”に年甲斐もなく恋をする話です。自分の家に毎日の様に来てくれる“少女”が、“先生”は愛おしくてたまらない様でした。
そして季節が巡ったある日、“先生”は、“少女”に告白をしました。“少女”の答えは、空白でした。
「続きは、Aの口から聞きたい。」
こうして私は先生とお付き合いを始めました。

*→←あとがきにも満たないなにか



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御夜子(プロフ) - 返答ありがとうございます!二次元&実況垢の方(あせって名前)でさせていただきました。  (2022年12月19日 18時) (レス) id: 4351439b71 (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬真夢(プロフ) - 御夜子さん» 閲覧&嬉しいお言葉、ありがとうございます。Twitterの申請ですが、どちらでも大丈夫です。御夜子様が申請したい方で申請いただいて、かまいません。どちらでもお通しいたします。 (2022年12月19日 13時) (レス) id: 1abc7ca154 (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬真夢(プロフ) - 赤月さん» 閲覧ありがとうございます。こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします。 (2022年12月19日 13時) (レス) id: 1abc7ca154 (このIDを非表示/違反報告)
御夜子(プロフ) - 作品すごく良かったです(特にコンプレックスの話刺さった!) 質問ですが、Twitterもフォローしたかったんですが、仁時産字専用夢垢(常に鍵)と、二次元&実況者夢垢(リスイン等申請時開け)の二つを持っているのですが、どちらで申請したほうがいいですか? (2022年12月19日 3時) (レス) id: 4351439b71 (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - めちゃめちゃ好み!更新楽しみにしてます! (2022年11月12日 21時) (レス) @page36 id: a401c70aaa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜瀬真夢 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月24日 0時

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