第203話 ページ8
「上に立つ人間だったら普通じゃね？上に立つ人間が俺達下の人間をコマとして使うのってそれって普通じゃね？」
当然なんだと言うろくろに有馬は驚いた表情をした。
「戦って死んでいった人達だって別に捨てゴマにされたって思ってないだろうし。あんた本当は有主に戦いの世界に身を置いて欲しくなかっただけだろ？だからずっと遠ざける様な真似ばっかりしてきたんだろ？」
「......焔魔堂」
「もっと昔に清弦はこうも言ってた......自分たち大人が不甲斐ないから子供にまで戦わせなきゃならない..........子供は子供らしく遊ぶことだけ考えるべきなのに───────って.......」
私利私欲のために自分達を利用することそれは普通だと。
他のいろんなもの差し置いてでも親が子供のことを考えることは普通だと。
「......何......を言ってるんだ.....ろくろ君(僕がやってきたことは....そんな綺麗事で済まされる話じゃ.....そのために誰に恨まれることになろうともあの子自身に遠ざけることになろうとも......自分の命を削ること.....)」
「自分はどうなってもいいから有主に幸せになって貰いたかったんだろ......。皆そうなんだ.....清弦も.....姉ちゃんも紅緒も......俺もたまに思うよ。自分はいいから大切な人に幸せにって....でも、それって多分正解じゃないんだ。」
「.....？」
「僕の幸せにはあなたが必要です...！！お父さんっ....死な......ないでお父さ.....ん！！」
涙を流しながら有馬に想い伝える有主。
「....っ......全く.....！こうならないように......君を遠ざけてきたん.....だよ。本当.....もう嫌になるね.....！ホント.....台無しだよっ......」
ふっ.....。
「台無しじゃないか......！！」
ヒビの入る両手で有馬は、涙を流しながら有主を抱き締める。有主も有馬を泣きながら抱き締め返す。ボロボロと崩れ始めた腕を見て有馬は、有主を放した。そして、ろくろを自分の下に呼んだ。有主の代わり、ろくろが有馬の前に来た。
「君が島に来てはじめて青陽院へ来た時、右腕にかけた封印のことは覚えているかい？」
「ん？......ああ、当ったり前じゃん」
「アレのせいでどれだけ苦労したか.....」と言ってあの時のことを思い出すろくろ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
