第202話 ページ7
大きな爆発の後、静まり帰った禍野。
ろくろ達を囲っていた結界は砕け、有主はすぐに駆け出し有馬達が戦っていた場所を目指す。
「お父さん！！」
「あっ有主っっ！！一人で行くなって！！林檎ちゃん達どーすんだよ！！」
有主を追いかけるためにろくろは気を失っている林檎達に結界をはり、急いで追いかけ出した。その場で止まっている有主を見つけたろくろは彼の元に急いで駆け出して止まった。
「有主いたか！？生きてっか！？」
二人が見つめる場所には下半身が砕け砂のようになった有馬がよりかかっていた。上半身にはひびが入っていて今にも崩れそうになっている。
二人に気づいた有馬が首を上の方に向ける。
いつもの口調でろくろ達に声をかけた。
「......やあ、二人共.........ケガレの声が止んだね。無悪の甘露門は取り除くことが出来た.......かな？」
無悪を倒したまでとはいかなくても、甘露門を取り除けたためにケガレが現に現れることは止まった。
「─────とは言えスマートさは欠片もないな...情けない父親だろ.........？いつもは君に暴言を吐いておきながらいざとなったらこのザマ、とんだお笑い草だよね.....」
「おかしいことなんてっ......ひとつもありませんっ！あんなことっ......他の誰が真似出来るというのでしょう......！」
有主は自分の事が嫌いでも有馬は自慢のお父さんだと泣きながら強い口調で自分の想い口に出す。
「.....はは、困っちゃったな.....僕程、ろくでもない陰陽師は他にいないよ.....」
「.....！？」
「この外見と同じさ......ケガレ達と何ら変わらない......」
ヒビが入り、二本の指がない状態の手をあげ話し出す有馬。
二人は黙って聞いている。
「自分の私利私欲のためにろくろ君や紅緒君、同じ陰陽師達をコマのように利用してきたんだ。君が言う様な人間とはかけ離れた生き物......」
「全部有主のためだろ？」
ずっと黙って聞いていたろくろが話す。
その言葉に有馬と有主は驚いた表情をした。
「清弦が言ってたよ。あんたが誰よりも陰陽師の使命に忠実でわかり易い考え方の持ち主だって......あんたが常にケガレとの戦いを終わらせることしか考えてないって.......」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
