第235話 ページ40
『天馬、大好きだよ』
次の言葉が怖くて天馬の顔がまともに見れない。
士門にここまで心配されて、お膳立てされて.......言わないって訳にはいかないなって思った。声も震えてたし、泣きそうなのを押さえて笑顔で言えたと思う。
絶対に最高の笑顔でフラれても士門なら褒めてくれるはず！慰め係の幼馴染！まだ売店で待ってて.....！頼む！！
「彼方」
『！』
名前を呼ばれて天馬の方を恐る恐る彼の方を見ようとすれば、腕を引っ張られた。え、フラれる？？と内心パニックになっていたので驚いて咄嗟に反応できなかった私。体は引っ張られた方向へと倒れる。片足がベッドに乗り上げて、もう一方の片足は床についたまま。身動きは取れない。ベッドにいた天馬に抱き締められているからだ。
『(え、え、え？？なにナニ何？？)......て、天馬.....？』
「好きだ」
『.....ぇ』
すぐ近くから聞こえたのは好きな人からの言葉。
夢みたいな幻みたいな都合のいい言葉で。
「何でお前ばっかり好きって事になってやがる.....！俺もずっと彼方が、お前が好きだ」
『────！』
好き？
今、天馬は好きって言った？
本当に？「好き」だから天馬は私を抱き締めてるの？
『う、そ.....？』
「じゃねぇよ」
『ホント.....？』
「冗談で言うわけねぇだろーが！！んん！？」
『私の事.....すき.....なの？』
「ああ」
『....っ....私もすき』
「ああ」
「泣いてんじゃねーよ」と背中を撫でてくれる天馬の肩に顔を埋めた。だって、涙が出てきたんだもん。止まってくれる気配なんて全然なくて、次から次へと目から涙が流れてくる。片方だけだけど、右目の分まで流れてくるみたいに止まらない。
『私だけ好きじゃ、ない....？』
「俺もだ」
『好きでいてもいいの....？』
「好きなだけ好きでいればいいだろーが」
『......そんなこと言ったらずっと好きだよ？片思い歴ナメないでね？ずっと好きなんだから』
「俺の方が好きだ」
『私の方が好き......っ....好きな、の.....』
手を天馬の背中の辺りと服を掴んでぎゅっと力を入れた。
「ずっと側にいろ」
『！』
「守るから」
『....っ.....う、ん....うんっ』
私も守るよ。
ずーっと貴方を守るから。
約束するみたいに好きだって、伝えるために優しく口付けを交わした。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
