月姫の陰陽師伍 (ページ36)

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第231話ページ36

焔魔堂彼方side

あの戦いから数日。
ケガレを祓い、ろくは悠との戦いに決着をつけた。
禍野からの戦いの後、陰陽師達は検索をしたり、ちょっとの間入院したりと様々である。

「姉様、入ってもよろしいですか？」

『！』

自室でぼーっとしていた時。
障子の外から聞こえた弟の声に驚き、「いいよ」と返事をした。入ってきた未来は、ラフな格好をしていて顔面偏差値が超高いと再認識できる(常に思うけど)。

『どうしたの？』

「.........姉様に言いたい事がありまして」

『うん？』

言いたい事？
今度の任務の事だろうか？

いつもよりも真剣な顔つきの未来に対して背筋を伸ばした。
未来は私の前まで歩いて来ると目の前に座って私を見る。

「鵜宮さんの見舞いには行きましたか？」

『！.....行ったよ』

「そうですか。.....では、想いは伝えましたか？」

..............え？

『えぇっ....！！？え、え、えぇ？？』

「その様子だと伝えてないようですね(始めからなんとなくわかってましたけど)」

未来の発言に思わず思考が停止。

何故その話になるんだ？
て言うか、何で好きだって知ってっ.....。

「結構分かりやすいですよ.....、鵜宮さん(ﾎﾞｿｯ」

『え？』

「いえ、姉様の変化に気づくのは当然です....！七年前からわかってましたよ」

『そ、そうなの....！？』

「はい！」

士門に知られるのはしょうがない。よく一緒にいたのだ。バレるとはわかっていた。けど、身内にバレてるってのは恥ずかしいもの。隠してたつもりだったんだけどなぁ。

「だから、聞きますが姉様は鵜宮さんに告白しないのですか？」

『.......どうなんだろうね.......』

「.....怖い....とか、ですか....？」

『！』

怖い。
怖い......かぁ。

私は天馬にこの気持ちを伝えることに怖がっているのか。
この関係性が壊れるのを恐れているのか。

変化しない関係なんてない。
それを私はわかっている。

.....本土で記憶がなかった時にそう思ったから。

でも、未来の言う通り、私は何かに恐怖している。

何に恐怖しているのかはわからない。
でも、恐怖している。
私が、絶対に何かから怖がっているのはわかっている。

もう.......随分昔から。

ずっと前から私は知っているんだ。

　