第229話 ページ34
焔魔堂ろくろと石鏡悠斗、二人と戦い。
もう呪力も残っていないろくろと悠斗がお互い拳を交えていた。悠斗の何回目かの攻撃をろくろが自身の手で防ぐ。
「お前の拳はもう見切ったあ！！」
ドガッ！！！
我を失った悠斗はろくろに頬を殴られたことでバランスを崩した。
「お前のことは一番最初にあった時から気に入らなかったんだよっ、自分勝手だし、口も悪いし態度も悪いしっ.....嫌いな野菜は絶対に残すし、掃除はサボるくせに一番風呂には入りたがるしっ.....」
「......ただの愚痴？」
近くで見守る紅緒はろくろの言葉に素直な言葉をこぼした。
「清弦の寿司食われた時だってお前のせいで俺まで怒られるしよお！！！！」
「！！＿＿＿＿＿＿清弦さんの寿司を食べたのはお前だろおおおおっ！！！！」
意識がはっきりした様子の悠斗がろくろを殴った。
ろくろの言葉に当時の記憶を思い出したのだ。
「自分ばっかり.....！！」
「.....へ？」
「僕から酷い目に遭わされたのは自分だけみたいな言い方してっっ！！ろくだって.....！！ろくだって僕を散々振り回してきたじゃないかっっ！！」
今度は悠斗がろくろへの不満を叫びながら、殴る。カレーのおかわりの量が多いや教科書を貸せばぐちゃぐちゃになって戻ってくると。
「かな姉さんの抹茶プリンを食べたのもお前だろおおっ！！」
「それは二人で怒られただろ！！怖かったんだぞっっ！！」
大切に取っておいた彼方の抹茶プリンを内緒で食べたろくろ。その事をろくろは悠斗に擦り付け、結局は二人とも怒られたのだ。
当時の彼方は怒った。
精神年齢は余裕で二十代だったが、抹茶プリンは別なのだ(後々、大人げないと気づいた彼方は反省して、ろくろと悠斗、彼方の三人でプリンを食べた)。
普段、怒られない人は怖いよねということがわかった。
ドガッ！！
「......ろくろ....
「鬱陶しんだよっ.....僕の中の穢れを祓う？....とか！一体何様だよっ.....弱いくせにっ.....！！何もできないくせにさあっっ！！もう僕のことは放っとけよおおおおっ！！！！」
ポタポタとしたたる血。
手を握り、倒れたろくろに襲いかかる。
それをろくろは手で受け止めた。
「だったら、もっと偉そうな顔しろよっ.....！！！！」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
