第228話 ページ33
同い年の陰陽師であり、彼方と関わりのあるろくろ達のことは気になっていたために見守っていたのだ。
勿論、彼の性格もあるが。
「がぁぁぁぐるるるああ！！」
「『！？』」
「こいつっ.....動けるのかよっ！！」
祓ったと思ったケガレが再び攻撃しようとした。
ここにいる陰陽師の大半がすでに体力も呪力も限界にきていた。
「とにかく離れろっ.....。戦えない奴は後ろに下がれ！！」
「.....ｯ....！！」
ケガレの攻撃にそなれる陰陽師達。
だが、次の瞬間ケガレは跡形もなく祓われた。
ダダダダダ！！
ザッ！！
「え.....」
「久しぶりじゃないっスかね〜」
攻撃を仕掛けようとしていたケガレに無数の刃が落ちたと共に大きな斬撃がケガレに止めをさしたのだ。
ケガレの対に人影が現れた。
「あれは....」
「月姫の纒神呪っス」
全身が白く、揺れる白髪。
反射して銀のように輝くように見えて、回りにはひし形の鏡のような刃が浮かぶ。ふわりと浮かぶスカート、額からはえる二本の角。誰が見ても言葉を失う姿。
「綺麗....ですね....」
「いつもの姉様も綺麗ですが、纒神呪を使う姉様も素敵ですっ！！」
「でも大丈夫なのか？彼方ちゃん、纒神呪を使うと倒れてしまうよな？」
「そこは大丈夫ですよ。この七年と３ヶ月、姉様の呪力量は昔に比べて多くなりましたから....！倒れることはありません」
上空に浮かぶ彼方。それをキラキラの瞳で見る未来。陰陽師の何人かは遠目からでもわかるその美しい祓いとその姿に見惚れた。
『.....幼馴染の復活を邪魔して、空気が読めないね(このケガレを操ってたでだろう婆娑羅はたたらさんが祓ったかな.....)』
すっ。
纒神呪を解いて、ゆっくりと地面に降りた彼方。「怪我はない？」「はい、大丈夫です」と少し遠くの未来に彼方は確認して、弟である未来は頷いた。周りにケガレはいなくなり、彼方はふと一点を見つめた。
『あとは、ろくと悠だけ.....』
黙ってそちらを見る彼方の瞳には悲しみが写っていた。
『(......ああ、本当に──────)この運命は何かの転機なのでしょうか？......ねぇ』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿晴明、道満？
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
