月姫の陰陽師 参

第147話 ページ49

「俺が弱いせいで清弦にも......姉ちゃんにも辛い顔をさせてしまった」

『！.....そんなことないのに』



ろくは大切な家族だから。
そんなこと思わなくてもいいのに。



「俺とあんたは全然似てないよ.....俺は......死んだ子たちと一緒なんだ.....」

『.......』

「でも.....俺は生きてるけど.....早花咲組の子たちは死んじゃったから.....もうあんたに恩返しも罪滅ぼしも出来ないっ......！」

「！な......何故？あの子たちが何の罪滅ぼしをしなくちゃいけないんスか......！？」

「あの日、ケガレ喰いの力か食べちゃったのは皆が大好きだった勘ちゃん先生だよっ」



泣きそうな顔でろくろは勘久郎さんに思いをぶつける。



「早花咲の子たちが何より嬉しいのは.....喜ぶのはっ.......願ってるのはっ......！強くてかっこいい勘ちゃん先生がこれからもたくさんのケガレをやっつけてたくさんの人を助けてこれからもずっと......皆の憧れでいることだっ.....！！」

　



　





──勘ちゃん先生ぇ、大好きっ──





　




　
「！！.....ひとつだけ、聞かせて貰っていいスか.....」

「！」

「君は悲劇で.....雛月の悲劇で自分が手にかけた友達が.....自分を恨んでる───とは思ってないんスか.....？」

「......勿論、思ってるよ。昔はずっとごめんなさいって......許して.....恨まないで.....って.....思い続けてた」



どうしようもない後悔は消えることはない。
それを二人は背負って生きていくのだろう。





──────────





「悔しいのなら、強くなりなさい。_______彼方」





──────────





『(......私は強くなってるのかな....)』

「でも今は恨んでくれていい.......って恨み続けていて欲しいって思ってる。戦って戦って殺した皆の分まで戦って......最期、自分が死んで皆のところへ行った時「俺、頑張ったよね？」ってちょっとでも胸を張れるように......」



自分が後悔しないように。
笑って、頷いて貰えるように。



「そうでないとさ、何もしないままじゃ死ねないもんね......」

「.....君は立派スねぇ.....(じゃあ僕はこれまであの子たちのためには何ひとつしてあげられていないってことスか......)」


　

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