第94話 ページ46
前を歩く小夜さんがろくろの方を向いて御礼を言った。自分を助けに行こうと言い出してくれたから。でも、ろくろは自分の無茶に私達をつき合わせただけと自身の手を握り悔しそうに言った。
『(ろくろのせいじゃないでしょ......)』
「自信過剰も大概にしておけよ。お前一人で全てを守りきれるような敵でないことぐらい皆承知で禍野へ行ったんだ........ただ、確かなのは_______」
士門はろくろの言葉を否定して、まっすぐにろくろをみた。
「あの時すぐに禍野へ向かっていなければちぃ子はおろか、葛の葉の呪力を得た聖丸によって現にも甚大な被害が出ていたであろうということ。」
士門のいう通り、こちらにも被害が出ていた可能性はある。
「無茶を全てとは良しと出来ないが、あの時お前が俺を正してくれていなければ、少なくともちぃ子は生きてここにはいない。.......俺の生きる目的も意味も尊厳も......お前の無茶が俺の全てを救った」
『(......生きる意味......か......)』
「遅くなってしまったが改めて礼を言う。焔魔堂ろくろ、力を貸してくれてありがとう。お前が土御門の島へ来る日を心より待っている」
そう言って、士門は、片膝を地につけて同じ方の手を握り地面につけて頭を下げた。
「十二天将・朱雀。斑鳩士門っ 双星の陰陽師と共に戦えることを誇りに思う.......!」
「禍野がなくなった世界でまたラーメン一緒に食べようね!」
笑顔でろくろに手を振りながら去って行った小夜さん。
「じゃあ私もそろそろ帰ろ〜〜っと」
「え"!?なんだよ、繭良まで〜〜〜〜っ!!?」
「私だって色々忙しいの!」
「そんなぁ〜〜〜〜」
ろくと紅に気を使って帰ることにした繭。気づこうよ、ろくろ。繭が帰った後に、私もろくろに帰ることを伝えた。
『じゃ、この後用事あるから帰るね』
「姉ちゃんもかよ〜〜〜〜!!」
『ははは......。ごめんね?紅緒と二人で過ごしてね!』
二人という部分を強調して玄関から出た。
今ので二人きりになるってことに気づいたかな?
これで気づかなかったら、相当な鈍感だ。でも、きっとろくはそこまで鈍感じゃない。繭の想いには気づいてないみたいだけど、好きな子のことなら、きっと気づく。.......乙女心は分からないみたいだけどね?
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夏菜沙(プロフ) - ありがとうございます!嬉しいです!! (2021年7月31日 13時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
346 - なんで評価低いのかわからない!面白いです!!これからも頑張ってください! (2021年7月30日 0時) (レス) id: b132005490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月22日 16時